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第766回 食物過敏症 セリアック病と骨

昨晩から吹き始めた風は、先週末と同じ嵐のような風です。 我が家は近辺の宅地開発にともなって林や森が年々少なくなり、昔はその木々が防風の役割を持っていたことを改めて痛感している深夜です。突風によって家が揺らぐことなど、先週末の嵐までなかったのに・・

さて日付も変わりエイプリルフールの4月1日から2日に変わりましたので、今日は早々とUPしましょう。
今日はセリアック病と骨についてです。いよいよセリアック病も佳境に入ってきまして、来週中にはこのロングランテーマもエピローグとなる予定です。

いまさらになりますが、骨や歯をつくる主要な構成成分はカルシウムで、体の中で最も豊富に存在するミネラルでもあります。カルシウムは食事によって摂取され、骨だけでなく、筋肉や神経の働きなど、体が必要とする細胞臓器で消費され、骨で貯蔵されます。一方で、骨は筋肉、その他の臓器を支える骨格をつくる重要な細胞でもありますが、骨のもう1つの大切な役割には、血液中のカルシウムを常に一定に保つための貯蔵庫としての働きがあります。通常は、食べた食材に含まれるカルシウムが「正しく吸収」され、血液を流れ、カルシウムを必要とする体の細胞臓器へ運ばれますが、食べている食材に十分なカルシウムが含まれていなかった場合や、カルシウムが豊富に含まれた食材を食べても、「正しく吸収」されない状態、いわゆる栄養吸収障害の状態が現れている場合には、細胞臓器へのカルシウムの供給は不足します。体の中で最も豊富であるカルシウムは、逆にいえば最も仕様頻度、要求量の多いミネラルでもあるということでもあり、その供給が不足した場合には、骨に貯蔵されているカルシウムを使わざるを得ない状況がはじまります。

今まで説明してきたように、セリアック病の場合、グルテンによって腸が栄養素の「正しい吸収」ができにくくなる状態を作り出すために、カルシウムの吸収も低下し、その需要に応えるためにカルシウムの貯蔵庫である骨からカルシウムが盛んに引き出されることになります。症状の進行度にもよりますが、セリアック病の人の場合、年齢が若くても、骨にかかわる症状、特に、骨軟化症、骨減少症(骨そしょう症の前兆)、それに骨そしょう症のリスクが一般の人に比べ高くなりますが、その背景には以下のようなものがあります。

1、栄養素の慢性的な吸収障害
骨の形成に直接かかわるカルシウム、ビタミンD、マグネシウムの吸収低下
ビタミンDとカルシウムの関係については以前のブログを参照してください。
2、セリアック病の人に多くみられる慢性的な下痢
慢性的な下痢によって栄養素の吸収をさらに低下する
3、トランスグルタミナーゼ(tTG)の影響
tTG(以前のブログ参照は腸だけでなく骨の細胞にも存在し、セリアック病の人の多くがtTGに対する抗体をつくってしまい、骨の形成にかかわるtTGの働きを抑制する

骨をつくるためのカルシウムの量は、副甲状腺という組織がつくる副甲状腺ホルモン(PTH:Parathyroid Hormone)によって調整されていて、このホルモンによって血液中を流れるカルシウムの量は一定に保たれています。セリアック病によってカルシウムの吸収量が低下すると、PTHが働き、血液中のカルシウムの量が適切な範囲になるまで骨からカルシウムが引き出され続けることになります。この状態を「副甲状腺機能亢進症」と呼びます。
by nutmed | 2010-04-02 00:05