第785回 ザクロの作用効果について その3

梅雨入りの予行演習だったこの2日間とは一変、西からの高気圧に覆われ、ここ東京も朝から眩しい陽がさす1日になりあそうですが、肌に触れる風はまだ冷たい感がありますね。

さて、きょうはザクロとホルモンについてです。
ザクロに含まれているエラジタンニンの構成成分の中には、アロマターゼを阻害する作用が確認されています。アロマターゼは、男性ホルモン(アンドロゲン)を女性ホルモンのエストロゲン(エストラジオール:E2)に変化させる酵素です。アロマターゼ酵素は場合によっては女性の乳がん(エストロゲン由来)や男性の前立腺がんの発症、毛髪の薄毛などに働いてしまう酵素でもあります。今年の1月にアメリカのガンの研究誌(Cancer Prevention Research, January 2010)で、ザクロに含まれるの構成成分のなかの1つ(ウロリシンB:urolithin B)には、エストロゲンに反応して発症する乳がんを抑制する強い作用を持つことが報告されました。
エストロゲンに反応して発症する乳がんの治療で投薬される薬の中には、アロマターゼ抑制剤(アロマターゼインヒビター)が処方されることは少なくありませんが、ザクロの中には、これらの薬に匹敵するような機能性成分が含まれているわけです。
アロマターゼインヒビター薬は、女性だけでなく高齢男性の男性機能回復、性欲増加、腹部の脂肪抑制の目的でも使われていますが、その背景にはアロマターゼの働きが抑制されエストラジオールの量が低下して、テストステロンが増えるという理屈があります。
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アロマターゼインヒビターのことについては昨年の5月のエンテロラクトンのテーマでも取り上げているのでこちらを参考にしてみてください。
アメリカでは、高齢男性の男性機能回復、性欲増加、腹部の脂肪抑制の目的で、ザクロエキスにリグナンから抽出されたエンテロラクトンを加えたサプリメントもあるほどです。
by nutmed | 2010-05-13 10:47