第794回 脂肪の消化分解を促進する方法 その2

今日の東京は朝から水銀柱がウナギ登りです!(古い言い回しですね・・)今日は10分ほどでいいですから、肌のどこかを少し露出して、紫外線を浴びて、ビタミンDを作る1日にしましょう! 

さて、今日は脂肪の消化分解を促進する方法の2回目です。
コレストキニン(CCK:cholecystokinin)の働きについては前回の説明で理解していただけたかと思います。CCKが正しく生産されて分泌されていれば、たんぱく質と脂質の分解が進むわけですから、たんぱく質や脂質が含まれた食事をするときには、CCKの分泌をもう少し刺激してあげることで、これらの栄養素が正しく消化分解されることも理解いただけると思います。そんな素材があるんです。1943年と、はるか昔にはじめて研究発表された内容ですが(Boyden EA, Bergh GS, Layne J A. in a paper called “An analysis of the reaction of the human gall bladder and sphincter of Oddi to magnesium sulphate. Surgery 1943; 13:723-733”.)半世紀経た現在でもこの論文に基づいて、臨床でも応用されているだけでなく、ヨーロッパやこの日本でも昔から知らずに使われている方法があります。
その方法の鍵はマグネシウムです。マグネシウムと言ってもパートナーとなる物質(キレーター)が異なることでその性質や吸収率は大きくことなりますが、この方法で使われてきたマグネシウムは「硫酸塩マグネシウム(Magnesium sulphate)」という形体のものです。
このマグネシウムのパートナーの硫酸塩には、CCKの生産と分泌を促進する非常に強い作用があることは50年以上まえに証明されています。
ここまで説明して「あっ!なるほど、わかった・・」と言ってくれると長々と前置きをしてきた甲斐があるんですが(笑)
そうなんです、あのミネラルウォーターにはこの硫酸塩マグネシウムが豊富に含まれているということなんです。ヨーロッパのミネラルウォーターは日本のものに比べて、硫酸塩マグネシウムが豊富に含まれている商品が少なくありません。私にしてみれば何故あのミネラルウォーターばかりが評判になっているのかわからない原因はここにあります。
ヨーロッパ旅行をされた方は、ヨーロッパで出されるミネラルウォーターには発泡性の水が多いことにお気づきだと思いますが、あの発泡性のミネラルウォーターにはさらに硫酸塩マグネシウムが豊富に含まれてます。アメリカ人がフランス人のことを「フロッグ(カエル)」と揶揄することがありますが、この背景にはフランス人は食事中にワインもたくさん飲みますが、それ以上に水を沢山のむからなんですね。でもフランス人だけでなくヨーロッパ各国で食事中に水を沢山飲む理由は、CCKの分泌を促進させる硫酸塩マグネシウムが豊富に含まれているからなんです。

ただ、この硫酸塩マグネシウム、元素としてのマグネシウムの含有量は少なくて、その含有量は10%程度しかありません。つまり、100mgの硫酸塩マグネシウムには10mg程度の元素としてのマグネシウムしか含まれていないということになります。

次回はあのミネラルウォーターよりも効果の高い水の紹介です。
by nutmed | 2010-05-25 09:02