第801回 コーヒーが糖の代謝改善に有効

来週の月曜日、6月7日でこのブログも丸4年を終え、5年目に突入です! いつも購読していただいているみなさんには、これからも栄養・健康・医療にかかわる様々な話題やトピックス、研究報告などなどをお届けしたいと思います。また、先般、試験放送をしているライブによる栄養講座も、7月から月に2回ほど配信をしていく予定ですので、今後も楽しみにしてください。

さて、今日のテーマはコーヒーです。少し前までは、何かとグレーな飲み物として扱われてきた感もあるコーヒーですが、私たちの生活環境にドッシリと根を広げてきましたね。
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コーヒーが子宮(内膜)がんのリスクを低減。この話題は、2008年に日本の国立がんセンターの研究チームが世界ではじめて報告した、大規模疫学調査研究報告で、当時も新聞や雑誌をにぎわしたので、記憶にある方も少なくないでしょう。この背景には、コーヒーに含まれる植物性エストロゲンの作用に加えて、アディポネクチン(詳細は以前のブログ参照)を適度に増やす作用などがあるためと考えられます。
この研究報告内容と同様に、コーヒー(カフェイン)が2型糖尿病の予防、改善に多少なりとも有効であるかもしれないと言ったら、コーヒー愛飲家の人たちには朗報でしょうか。
コーヒーに含まれるポリフェノールには、血糖をコントロールするホルモン、インスリンの感受性を高めてくれる働きがあることがわかってきました。以前から、アディポネクチンにはインスリンの生産と分泌にかかわる作用があることが報告されていて、アディポネクチンが低すぎることによって、インスリンを過剰に生産してしまう可能性が報告されてきました。インスリンが過剰に生産されることによって、当初は、血液中の糖分が低くなりすぎる低血糖の状態を作ってしまう可能性が高くなりますが、インスリンが過剰に生産される状態が慢性的に継続することによって、今度は血管壁にあるインスリンの受容体がインスリンに対して鈍感になり、血液中の糖分がうまく細胞に取り込まれなくなることによって、高血糖状態、つまり2型の糖尿病に至ることが少なくありません。
1日2杯程度のコーヒーは、低血糖や2型糖尿病の予防や改善に有効である可能性はあるかもしれません。
by nutmed | 2010-06-04 08:54