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第811回 胃酸と吸収 その2 胃薬と鉄の吸収

今朝、銀行に用事があるため銀座通りを歩いていたら、Appleストアの前から100m以上の行列! 何かと思えば、今日は新型iPhone4の発売日なんですね。それにしてもスマートフォンといいiPADといい、アップルの一人勝ちの様相になってきましたね。Nokiaのスマートフォンをずっと愛用している私としては、Nokiaが日本を撤退してしまった今となっては、iPhoneに乗り換えたい気持ちもありますが、使用感や便利さではやはりNokiaに軍配があがります。

今日のテーマに入る前に、皆さんの多くが鉄のサプリメントを摂るときにはビタミンCを一緒に摂ったほうがいいことを知っているのではないでしょうか。
その理由はご存じですか? 中にはpHが関係していると思われる方もいるのではないでしょうか。確かに直接的ではないものの、pHも関係はしていますが、鉄の吸収や輸送のために必要となるパートナーであるリガンドという物質の1つがアスコルビン酸(ビタミンC)になります。リガンドについては難しくなるのでここでは割愛しますが、VCのほかアミノ酸(ヒスチジンやフェニルアラニン)、糖類が鉄の働きには必要なパートナー(リガンド)になります。つまり、ビタミンCは、鉄の吸収を導いてくれるリガンドなので、鉄とビタミンCは一緒に摂ったほうがいいというわけです。

さて、今日のテーマ「胃薬と鉄の吸収」に入りましょう。
まず、日本で市販されている鉄のサプリメントの多くは、非ヘム鉄の硫酸第一鉄です。前回、非ヘム鉄は、鉄を吸収に導くプロセスで強い酸が必要になることをお話しましたね。胃薬には逆流性食道炎のテーマでも紹介した、胃酸の生産分泌の根元を止めたり、抑えてしまうような薬(H2ブロッカーまたはプロトンポンプインヒビター)と、酸をアルカリ性物質で中和させてしまう、いわゆる制酸剤があります。
酸を中和させる制酸剤に配合使用されている物質は、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、重曹といった強力なアルカリ性のミネラルです。つまり、胃酸が分泌しているいないに関わらず、胃の中のpHをアルカリ性方向にしてしまう薬です。
1976年ノルウェーの研究者が、市販されている液体タイプの胃薬(アルミニウム、マグネシウムが配合されたもの)を飲んだ場合に、サプリメントで摂った鉄(硫酸第一鉄)の吸収にどれほど変化が表れるかについて調査した研究が報告されています。これによると、胃薬を飲んだ場合には鉄の吸収が平均で38%低下したことが報告されています。その後、アメリカ、イギリスでも同様な調査研究がこの30年ほどの間に行われていますが、いずれも同様に、強アルカリ性の胃薬は、サプリメントで摂った非ヘム鉄(硫酸第一鉄など)の吸収に影響を与えることが報告されています。
端的に言えば、食後にこのようなアルカリ性ミネラルを主成分とした胃薬を飲むことで、食材やサプリメントから摂取できる鉄の吸収は著しく低下するということです。
ここまで、来て「そう言えば・・」と思った人は私のブログをしっかり購読してきた人ですね。カルシウム、マグネシウムは何も胃薬に配合するためだけのミネラルではないですよね?そう、カルシウム、マグネシウムのサプリメントは数多く市場に出ています。これらのアルカリ性ミネラルが配合されたサプリメントの飲むタイミングを間違えると、同じミネラルの鉄の吸収を妨げることになるということです。もちろん鉄欠乏性の貧血傾向にある方は、胃薬を不用意かつ安易に飲まないように注意したほうがいいということでもありますね。
by nutmed | 2010-06-24 09:56