2010年 06月 28日
第813回 胃酸と吸収 カルシウム その1
さて、今日から胃酸とカルシウムの吸収です。
カルシウムは、骨、歯の形成に不可欠なミネラルであることは言うまでもありませんね。体内環境では数百からの働きにかかわる重要なミネラルの1つです。例えば、骨以外にも脳内神経の情報伝達、筋肉のリラックス、心臓の鼓動にもかかわる重要なミネラルでもあります。加齢によってカルシウムの吸収は低下することが知られていますが、最近では加齢に関係なく、食事内容によっても若くしてカルシウム不足になることもわかりはじめてきました。
カルシウムの吸収に胃酸が重要な役割を担っていることが証明されたのは、今から50年ほどまえになります。1960代当初、胃潰瘍の治療用に大量のカルシウム(炭酸カルシウム:商品名はTums)が用いられていました。当時、尋常ではないカルシウムを胃潰瘍の治療に用いていたわけですが、多くの医師がカルシウムの吸収過剰を懸念していました。しかし、1967年に発表されている研究報告によると、胃潰瘍の治療に使われていた非常に大量の炭酸カルシウムの吸収率を調査したところ、対象となった胃潰瘍の患者が吸収できていたカルシウムは2%にとどまっていたことがわかりました。これらの胃潰瘍患者の多くの胃酸の分泌量は低いだけでなく、そのpHは平均で6.5と通常よりもアルカリ性傾向であることがわかりました。これらの患者の何人かに、塩酸のサプリメントを飲んでもらい、胃酸のpHを1.0まで下げ、胃潰瘍治療用の炭酸カルシウムを同時に摂取してもらったところ、カルシウムの吸収は10%にまで上昇しました。
カルシウム(イオン)の吸収のしくみは、大きく分けて2つありますが、胃酸はカルシウムを吸収する際には重要なファクターでもあります。詳しくは以前のブログを参照ください。


