2010年 07月 05日
第818回 胃酸と吸収 ビタミンB12の吸収について その2
さて、今日は胃酸と吸収、ビタミンB12の吸収の2回目です。
貧血のなかでも重い症状のある悪性貧血は、ビタミンB12の不足が大きな原因となることが多い貧血ですが、胃酸とペプシン、前回紹介した内因子の過少が背景にある委縮性胃炎を抱えている人の多くが直面する可能性の高い貧血でもあります。委縮性胃炎の人に悪性貧血が併発する背景にには、胃炎によって内因子と胃酸を分泌する胃の壁が損傷を受け、十分にビタミンB12が吸収できる状態にならないことがあります。
悪性貧血、委縮性胃炎が疑われる検査結果がでた人に対しては、ビタミンB12の経口投与ではなく、筋肉注射や点滴での直接的な投与を行います。その理由は前回のブログを見てもらえば理解できると思います。
栄養療法でもビタミンB12の筋肉注射は頻繁に行いますが、初期の委縮性胃炎や、胃酸の分泌過少が疑われるようなクライアントに対しては、ビタミンB12だけでなく、ミネラルの吸収を促進させ、悪性貧血に至らないようにするために、最初の段階では、胃酸とペプシンを補い、重篤なビタミンB12の不足とミネラル不足(特に鉄)を来たさないようにします。
私がカウンセリングに出ている神尾記念病院でも青山外苑前クリニックでも、自宅でできる胃酸分泌の確認チェックを行っていただいたり、明らかに胃酸が少ない、またはpHが十分に酸性になっていないようなクライアントに対しては、貧血だけでなくビタミンB12やミネラルの吸収不良から重篤な症状に至らないように、主治医にお願いをしてビタミンB12の筋肉注射を勧めてもらっています。全てのクライアントではないものの、ビタミンB12の注射によって、抱えていた症状のいくつかが改善されることは少なくありません。
日本では、ビタミンB12の薬として「メチコバール」というピンク色の錠剤がよく処方されますが、動物性たんぱく質から得られるはずのビタミンB12も、メチコバールに含まれるビタミンB12も、腸で吸収されるためには、前回紹介した、胃の壁から分泌される内因子が必要になります。
ストレスや薬、食材の影響によって、この内因子が分泌される胃の上皮細胞が何らかの影響を受けているような場合には、ビタミンB12を腸(回腸)へ運び吸収される状態をつくってあげることができにくいことは少なくありません。少なくとも、胃酸が十分に出るような状態をつくれない状況が胃の中で起きているということは、胃酸と同じ胃の壁から分泌される内因子も十分に分泌されていない可能性は考えられます。


