2010年 07月 08日
第821回 胃酸と吸収 たんぱく質の吸収について
さて、今日は胃酸と吸収、たんぱく質の分解と吸収についてです。
食材から摂ったたんぱく質は、胃の中でたんぱく質分解酵素(プロテアーゼ)の1つであるペプシンの作用によって、切断(加水分解)され、アミノ酸とペプチド(2個以上のアミノ酸が結合したもの)に分解されます。
このペプシンは胃酸がないと、それも強い酸性の胃酸でないと働くことができません。その背景には、ペプシンの前駆体であるペプシノーゲンが胃内に分泌され、強い酸性をもった胃酸によってペプシンに変化することがあります。つまり、十分に強い酸性を帯びた胃酸が不足することで、食事から摂取したタンパク質が、体の細胞組織、ホルモン、免疫にかかわる抗体、粘膜など、体を構成する多くの重要なパーツの構成成分となるアミノ酸とペプチドまで分解できないということになります。
ペプシノーゲンがペプシンに変化し、ペプシンがたんぱく質を切断して、アミノ酸とペプチドまで分解するために最適なpHは1-2の間と考えられています。ペプシンがたんぱく質の分解に及ぼす影響については、140年も前にイギリスのFenwickが世界で初めて、胃酸の分泌不足およびペプシンの不足と悪性貧血の因果関係を研究報告して以来、これまでに世界中の生化学者が、ペプシンがたんぱく質の分解に与える影響について沢山の研究報告をしています。以下のグラフは1934年にイギリスの研究チームが報告したものですが、胃酸のpHがペプシンの作用する十分なpHでないことによって、たんぱく質の分解が4倍弱も異なることを証明したものです。

(出典:moltby 1934)
このグラフをみるとおわかりのように、今までこのブログで紹介してきたビタミンミネラルだけでなく、体を構成し、細胞組織の働きには不可欠で、命にもかかわる重要な栄養素たんぱく質の分解と、その後の吸収には、十分な胃酸、それも強い酸性の胃酸が必要であるということです。
次回は胃酸pHとうつ病について・・・


