第832回 胃酸不足と体内環境  ぜんそく その1

このところの雷雨と豪雨は予想以上の被害がでているようです。気象予報士の話でも、このような状況は非常に稀で、太平洋と大陸からのチベット高気圧の勢力がかなり強いからだそうです。猛暑と突然の雷雨は8月の中旬ころまで続く見通しだそうです。

さて、今日から胃酸のテーマは胃酸不足と体内環境に入ります。今日はぜんそくについてです。
私の師匠Dr.ライトは、35年以上前から胃酸不足、pH環境が様々な病気や症状にかかわっていることを見続け、診察で胃酸の分泌機能を調べたうえで、胃酸分泌機能を改善することで症状の改善につながっているものは決して少なくありません。
その中の1つがぜんそくです。一般的に、ぜんそくの治療では炎症を抑えるためにステロイドを使います。ある薬の紹介のサイトを見ると「ステロイドには優れた抗炎症作用があります。これを予防薬として毎日規則的に吸入する方法が喘息治療の基本です。」と書かれています。ステロイドには優れた抗炎症作用があることは間違いのないことです。もっとも、ステロイドは本来自分の体(副腎)でつくることのできる炎症を抑えるホルモンでもあります。確かに、ひとたびぜんそくの症状が現れた後には、その主たる症状である炎症からくる発作や、呼吸にともなう「バリバリ」「ゼーゼー」というようなラ音(ラッセル音)を抑えるための予防処置は重要ですが、ステロイド剤を毎日規則的に吸入する方法が喘息治療の基本と言われると、100%そうではないと思います。
私も実際にアメリカで研修中に、また栄養医学研究所で栄養カウンセリングを行った、ぜんそく症状を持ち、発作も経験しているクライアントに対して、胃酸の分泌能力と食事の傾向を自己チェックしてもらうと、明らかに胃酸不足または胃酸のpHが十分に最適な酸度になっていない可能性が高い人が少なくありません。青山外苑前クリニックと神尾記念病院でも何人かのぜんそくのクライアントに対しても同じ状況がありました。これらのクライアントに対して、食事のときに酸を補う食事方法や、ペプシンを補う食事の仕方を指導するとともに、クリニックではドクターから、マグネシウム、ビタミンB6、ビタミンB12を処方してもらうようにアドバイスをしたところ、早い人では3週間ほどでラ音が出なくなり、発作の回数も減る人が出ています。クリニックでは医療施設なので、ビタミンB12は筋肉注射で毎週1回を4-5週間、マグネシウムとビタミンB6は静脈注射で可能であれば週1回を4-5週間継続してもらうことをお願いしてきました。これに加えて、血液検査で食物耐性(アレルギー)を確認するためにIgG抗体検査を可能な限りお願いし、検査結果で食物耐性反応が強い食材はしばらく避けていただく食事指導を行います。中でも、改善効果が高いのは、ビタミンB12とマグネシウムです。マグネシウムについては以前にも紹介しているように、マグネシウムの持つ筋肉弛緩作用によって気道が拡張し、呼吸が楽になる背景がありますが、ビタミンB12とぜんそくの因果関係については、皆さんも興味のあるところだと思います。ぜんそくと胃酸分泌能力およびpHの因果関係に関する研究報告は、1940年代後半にスタートして以降、この15年あまりの間に、世界中で500以上の論文が発表されています。英語で「Asthma」「gastric juice」「gastric activity」などをキーワードに検索すると、沢山の報告や情報がヒットします。日本語でもここ数年「喘息(ぜんそく)」「胃酸」「逆流性食道炎」と検索してみると情報がでてくるようになったようです。平均するとぜんそくの人の3人に1人は逆流性食道炎であるという報告があります。
1、ロンドンの小児ぜんそく治療クリニックのDr.Brayが、1931年に「ぜんそくの主たる原因の中に食物アレルギーが深くかかわっている可能性が高い」ことを報告していること
2、ぜんそく患者の多くに、胃酸不足や胃酸のpHが十分に酸性でないケースが見られること
3、逆流性食道炎の発症頻度が高いこと
4、何よりも、ぜんそく患者に胃酸分泌不足やpHを最適化し、ペプシンを補い、胃酸不足によって吸収が著しく低下するビタミンB12を補う治療を行うことによって、症状が改善すること(特に小児ぜんそく)

上記の事実を考えると、明確な原因背景は不明であるものの、ぜんそくの原因背景には胃酸の不足が強く関わっていることはかなり明確ではないかと思います。
by nutmed | 2010-07-28 06:53