第833回 胃酸不足と体内環境  ぜんそく その2

昨日は週1回の神尾記念病院アンチエイジング外来での栄養カウンセリング日でした。以前ブログでも紹介した、小麦グルテンの影響によって慢性的な症状に悩み、グルテン食の回避をすることで今まで悩んでいた症状の多くが改善した女性が、2カ月ぶりに血液検査のために来院しました。2カ月ぶりに会った瞬間、体調はよさそうだ、と感じました。本人もあれ以降体調はすこぶるいいようで、5月以降は、子供のころから無かった汗をかくようになり、体温も安定して、いわゆる新陳代謝が良好のようです。何よりも本人が栄養療法をはじめてからの自分の体調の変化に驚くばかりで、またそれを克明に笑顔で話してくれる彼女の顔には、はじめて会ったときの顔の曇りが微塵もありません。

さて、今日は胃酸不足と体内環境、ぜんそくの2回目です。
ぜんそくと胃酸(胃液)には明確な因果関係があることが発表されたのは、今から300年以上も昔の1698年です。それから250年を経て、ぜんそくとビタミンB12に、因果関係がある可能性を示した研究報告が1949年にアメリカのネブラスカ州オマハで行われた検討報告でスタートをきります。この報告では、成長障害を持った小児数十名に、ビタミンB12の投与を1週間ほど行った際に、その中の小児ぜんそくを持った小児の発作とラ音が止まったことがはじまりでした。小児ぜんそくの場合、その背景には様々な原因がありますが、亜硫酸によってぜんそく症状が引き起こされることが少なくありません。日本でも1960年から70年初頭にかけて、愛知県四日市で大量発生したぜんそくもこの亜硫酸が原因だったことがあります。ビタミンB12と亜硫酸の代謝には何らかの因果関係があり、亜硫酸誘因のぜんそくではビタミンB12の治療が有効であることは、多くの研究発表によって報告されています。1951年にアメリカオハイオ州のドクターによって、小児ぜんそく患者にビタミンB12の筋肉注射(1日あたり1,000マイクログラム)を行ったところ、70%の患者で発作とラ音などの症状が大幅に改善されたという報告、1952年にイタリアの研究チームが、成人のせんぞく患者12人にビタミンB12の静脈注射を毎日行ったところ、20日後までに10人(83%)の患者で発作とラ音が止まったことが報告されています。しかし、この研究では、1日あたり30mgという、常識的には尋常ではない量のビタミンB12が静脈注射されていることも事実です。ビタミンB12の筋肉注射または静脈注射では、通常でも500~1,000マイクログラム(0.5~1mg)、ですからその量の多さは尋常ではありません。ただし、これと言った副作用もなく、改善効果の高かった10人の1人はその後も発作やラ音は出てこなかったことと、2人はその後もビタミンB12の静脈注射を継続して完治していることが報告されています。
Dr.ライトのタホマクリニックでも、35年前から小児ぜんぞく患者にビタミンB12の静脈注射と胃酸およびペプシンの補充療法を行っていて、平均でも2人のうち1人の患者で発作とラ音が無くなっただけでなく、その後もステロイド吸入をしなくてもいい状態になっています。
胃酸の分泌、pHとビタミンB12の吸収の背景にある因果関係は、ここを再度復習してみてください。
by nutmed | 2010-07-29 11:44