人気ブログランキング | 話題のタグを見る

第844回 胃酸と吸収 甘草(リコリス) その1

昨日の紹介したゲンチアナについていくつか問い合わせがきています。ゲンチアナ(根の粉末)は、日本では医薬品のカテゴリーに入る素材ですが、薬局などで処方箋なしで粉末に処理されたものが購入はできます。
通常は1回に200-300mgを食事の前にそのままでもぬるま湯に溶かしてでもいいので使用しますが、薬剤師に相談して使用量を確認するといいでしょう。

さて、今日テーマにする素材は、ハーブのリコリスです。日本や中国では「甘草」と呼ばれる漢方素材、また多くの食品の添加物としても昔からつかわれている素材です。少し難しくなるかもしれませんが、ついてきてくださいね。
第844回 胃酸と吸収 甘草(リコリス) その1_d0070361_11272978.jpg

マメ科の植物の甘草(Glycyrrhiza)は、中国漢方、日本の生薬だけでなく、世界中の民族伝承薬理素材として、昔から重宝されてきました。ハーブ療法や漢方、生薬で使用するのは、甘草の根を乾燥したもので、根の中にはグリチルリチン(Glycyrrhizine)という糖たんぱく物質が豊富にふくまれていて、このグリチルリチンには,鎮痛、抗炎症、胃痛緩和、鎮咳、去痰、解毒、十二指腸潰瘍緩和などにすぐれた薬理作用があって、皆さんが日ごろお世話になっているだろう風邪薬のほか、様々な薬に配合されています。 漢方薬でも、慢性化した症状を改善するためのポピュラーな漢方薬のほとんどにこの甘草が含まれています。
現在の胃や十二指腸の潰瘍に対する治療の王道ともいえる、胃酸の分泌を止めてしまうような薬が開発されるはるか以前から、これらの治療や症状改善に世界中で使われていた薬はスピロノラクトン(carbenxilone)という薬だと思います。スピロノラクトン錠は甘草の根から抽出された成分を配合したもので、その主要成分がグリチルリチンです。グリチルリチンは副腎(皮質)から分泌されるコルチゾンというステロイドホルモンによく似た作用を持っています。ハーブ療法で甘草を十二指腸潰瘍の治療に使い、効果があったという報告は1940年はじめにオランダの研究チームが発表して以来、世界中で報告されています。
しかし、いずれの報告でも甘草の持つ厄介な副作用が問題になりました。甘草の主要な薬理成分であるグリチルリチンには、カリウムの排泄が進むことによる、水分が体に貯留することによる浮腫み、血圧の上昇、心臓の働きへの影響という厄介な副作用があります。
甘草が持つ潰瘍改善作用は、甘草に含まれるフラボノイド成分にあるとされていますが、望ましくないグリチルリチンの副作用がなければ、腎臓や心臓、肝臓の働きが思わしくない人だけでなく、副作用を気にせずにその恩恵に預かれるわけです。そこで厄介なグリチルリチンの働きを大部分取り除いた素材が開発されたわけです。 その話は次回に・・・

そうそう、予断ですが甘草は私の大好きなルートビア(A&Wのが一番好きですが・・)のフレーバーにも古くから使われていますし、日本では馴染みの薄いその名もズバリ「LICORICE」(リコリスとかリコリッシュと呼ばれる)というアメリカや欧州では昔からおなじみのお菓子の原料にも使われていますが、これらは嗜好品以前に民間伝承のハーブ療法の素材として生活に溶け込んでいたものと思われます。
第844回 胃酸と吸収 甘草(リコリス) その1_d0070361_12475449.gif

by nutmed | 2010-08-24 12:48