第850回  ビタミンKが糖尿病のリスクを下げる

昨晩は2カ月ぶりに、女子栄養大学クリニックの管理栄養士さんたちへの勉強会がありました。今回のテーマは「糖化抑制と老化抑制」です。糖化については最近日本でもようやく臨床の場でも注目されはじめた内容です。毎日栄養カウンセリングを行っている管理栄養士の皆さんにとって、即実践できる知識やトピックスを講義することを心がけていますが、今回のテーマについても参加者の皆さんが実践で使える内容になったのではないかと思います。今回は、歯科医、スポーツトレーナー、医薬品卸の管理栄養士、大学院生なども参加していて、いつものように皆さん真剣にメモを取りながら聴衆してくれました。私にとってはこのような勉強会や講義のスタイルが一番取り組みやすいスタイルです。毎回参加者の皆さんにテーマを決めてもらうので、今から次回のテーマが何か楽しみでもあります。

さて、今日はビタミンKが糖尿病のリスクを下げるというお話です。

今年の4月の糖尿病に関する世界的な医学誌(The Journal Diabetes Care)に発表された、オランダのユトレヒト大学の研究チームによるビタミンKが糖尿病の発症リスクを下げる可能性についての報告です。
38000人を超えるボランティアの中から、918人の糖尿病(2型)と診断されたボランティア患者の食生活を10年間にわたって追跡調査したこの検討では、ビタミンK(K2)を日常的に摂取していた患者のほうが、糖尿病の様々な症状の発症リスクが平均で20%少ないことがわかったといいものです。残念ながらビタミK1では変化がありませんでした。
ビタミンKにはインスリンに対する感受性を良好にする働きがあることは、今から3年まえの7月にこのブログでも紹介していますが今回のオランダの長期間にわたる臨床検討によって、それが証明されたともいえます。
ビタミンKは現在までに7種類の存在がわかっています。自然界に存在するのはその中のビタミンK1(フィロキノン)とK2(メナキノン)になります。ビタミンKについては去年の1月に数回にわたって特集していますので、そちらを参考にしてみてください
日本ではビタミンKが豊富に含まれる食材を比較的日常的に食べる民族なので、ビタミンKの不足は稀だと思われてきましたが、従来の日本人が摂取していたビタミンKの量に比べると、この10年間でかなり不足している可能性も考えられています。
ビタミンKは以下の食材に豊富に含まれています。
100gあたりの食材に含まれるビタミンK
海苔:2600μg
納豆:930μg
しその葉:690μg
乾燥わかめ:660μg
ブロッコリ:320μg
大豆油:210μg
水菜:120μg

by nutmed | 2010-09-01 07:07