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第906回 2010.9 ビタミンD トピックス VDと乳がん

新聞を読まなくなって数カ月が経ちます。この数カ月間で大きく変わったのは、色々な出来事の分析力が研ぎ澄まされたこと、これは確実に変化がありました。極力中立的な立場で、自ら情報にアクセスして分析する。時間はかかりますが、今まで見えなかったことが見えるようにもなり、何よりも新鮮な気持ちになります。

さて、今日はビタミンDの7回目、ビタミンDと乳がんについてです。今日もまた少し難しくなるかもしれませんが、ついてきてくださいね。
マスコミメディアを通じて、日本人の乳がん発症率、死亡率が年々増加していることは、皆さんもご存じのことですね。以下は、国立がんセンターが発表している、乳がんの発症率、年齢別の発症率、それに死亡率のグラフです。まず、このグラフを覚えておいてください。
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このグラフ見てもわかるように、1975年以降乳がんの発症数は年々増加をしていることと、死亡率も少しずつではありますが増加していることがわかります。年齢で見ると、35歳以上から50歳までの乳がん発症数が圧倒的に多いことがわかります。早期発見が生存率を左右すると言われてきて、全国的な乳がん検診の普及もあってか、死亡率の伸びは確かに鈍化はしているようですね。
ただ、私が見てもらいたいのは、年齢別の乳がん罹患率のグラフです。早期発見、早期治療とともに、治療方法の発達によって、死亡率は鈍化しているものの、同じ年齢でみると、1975年に比べ明らかに2003年のほうが罹患率は高いということです。

さて、ビタミンDが乳がんにどのように関わっているかということですが、2002年の4月にイギリスのバーミンガム大学(The University of Birmingham)の研究チームが、乳がん細胞の抑制とビタミンDの関係を裏付ける報告を発表しています。乳がんとビタミンD、そのほか前立腺がん、大腸がんとビタミンDの関係については、ビタミンDの活性をもった型である、1-α,25(OH)2ビタミンDががん細胞の増殖を抑制する研究報告が2000年以前から発表されていましたが、2002年のバーミンガム大学の報告で、その関係性が強いことが報告されています。前回のブログで、ビタミンDの合成について紹介しましたが、腎臓において水酸化酵素(1-α水酸化酵素)の働きによって1-α,25(OH)2ビタミンDという、ステロイドにも似た強い活性をもつビタミンDが作られることを説明しました。この報告によれば、1-α水酸化酵素は、腎臓だけでなく、胸部、前立腺、大腸のほか、様々な臓器組織に存在することが報告されています。つまり、1-α,25(OH)2ビタミンDには、がん細胞の増殖を抑える働きがあること、その1-α,25(OH)2ビタミンDは、1-α水酸化酵素によってビタミンDからつくられること、そして、そのためにはビタミンDが紫外線を浴びることによって、皮膚の細胞で合成されることと、ビタミンDが豊富に含まれる食材を食べ、正しく吸収されることによってビタミンDが補充できるということにもなります。
そこで、先ほどのグラフですが、乳がんの罹患率が、同じ年齢でも昔よりも増えていることと、乳がん発症年齢自体が低年齢化している背景の1つには、紫外線に浴する機会が減ったこともさることながら、ビタミンDの含まれた食材を食べなくなってきていることもあるのではないかと、私は思っています。 イギリスやドイツ、カナダでは、乳がん、前立腺がん、大腸がんの予防に、1日5分ー10分程度の日光浴と、ビタミンDが豊富に含まれる食材、特に魚を積極的に食べることを、国や州をあげておこないはじめています。
早期発見の技術の進歩も歓迎ですが、それ以前にビタミンDの積極的な摂取、日光浴を行うことも大事なのではないでしょうか。

ビタミンDのトピックスは今回で終了です。ビタミンDについては毎回お話しているように、アメリカを中心にこれからもホットな話題が続くでしょう。機を見てまたビタミンDについてのトピックスを紹介することにします。
by nutmed | 2010-09-14 16:03