第908回 糖化について 糖化とコラーゲン

最近気になっていたtwitter(ツイッター)。日本語のサイトが運営される以前からIDは取得していたのですが、なかなか手がつかずにいました。昨晩、出版関係の知り合いにお願いして、twitterを使いこなしている若い専門家に勉強会を開いてもらうことになり、しっかり勉強してきました。このブログの左の下のほうにtwitterのバナーを張り付けておきました。twitterのIDをお持ちの方はフォローしてもらえれば、当日のブログの内容を少し紹介したり、ブログで紹介できないようなタイムリーな情報をtwitterでフォローしてもらえると思います。

さて、今日は糖化の2回目です。
今日から少し具体的な糖化の影響について紹介をしていきますが、最初に覚えておいていただきたいのは、糖化そのものは恐れることはないということです。糖化は糖とたんぱく質(アミノ酸)が反応することで起きますが、糖もたんぱく質も人間の営みには不可欠な栄養素、エネルギー源ですから、人間は生きている限り糖化とは無縁でいることはできないとも言えます。注意をしなければならないのは、糖化によって作られてしまう副産物で、この副産物が細胞、組織、臓器の働きに様々な影響を及ぼすということです。
この副産物のことを「糖化最終(または終末)産物(AGE: advanced glycation end-product)と言います。以前のブログで私が、「本当の意味でのアンチエイジングはAnti-Aging(老化抑制)ではなく、Anti-AGEing(糖化抑制)」と言い続けてきた背景はここにあります。

糖化を考えるときに、避けて通ることができないのが架橋形成(Cross-linking)という現象です。少し難しい言葉かもしれませんが、下の写真のスパゲティーを想像してみてください。
アルデンテで茹でたてのスパゲティーや、オリーブオイルで和えたスパゲティーは、フォークもスルリと通るほどサラッとしていますが、冷めてしまったり、茹でた後にそのまま放置されたスパゲティーは、麺同士がくっついて塊になってしまいますね。
第908回 糖化について 糖化とコラーゲン_d0070361_15272441.jpg

この塊は麺同士が、麺の原料である小麦のでんぷんによってくっ付きあってしまった状態です。この状態を架橋形成(Cross-linking)と言います。

これを人間の体内の皮膚で例えてみましょう。
日本の女性の多くが魅力を感じて、肌に塗ったり、あるいは細かくナノ処理されたサプリメントやドリンク剤として飲んでいるコラーゲンがあります。コラーゲンは皮膚の弾力性をつくるために必要なたんぱく質で、このたんぱく質のおかげで、シワや弛みを作らず若々しい健康な肌を維持することができます。
第908回 糖化について 糖化とコラーゲン_d0070361_15313296.jpg

コラーゲンはたんぱく質でできたらせん状の繊維で、繊維同士が絡み合うことなく自由度を持っています。コラーゲン同士をつなげて、一定の弾力を維持するための橋(架橋)がありますが、これは自然に作られた橋(架橋)で「生理的架橋」と言います。一方、たんぱく質であるコラーゲン同士が、糖化によって生まれるAGE(糖化最終産物)によって作られた橋(非生理的架橋)によってくっつき、この架橋の数が多くなることによって、コラーゲン線維の自由度は低下し、皮膚のシワや弛みをつくりだしてしまいます。
若い人に比べ、年齢が高くなるにしたがってコラーゲン線維は固くなりますが、これは、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸など皮膚を形成するたんぱく質の代謝が遅くなることで、糖分との接触時間も長くなり、糖化がいたるところで発生するためだと考えられます。

シワや弛みの予防のためにコラーゲンやエラスチンを塗ったり、飲んだりしても、意味はないとは言いませんが、まずは体内で起きている糖化反応のことをもっと真剣に考え、糖化を抑制することを考えるほうが先決だと私は思いますが・・・
by nutmed | 2010-09-16 15:35