第910回 糖化抑制の素材 グアニジン(Guanidine) その1

今日は朝から年に1回の人間ドッグでした。1日で胃カメラと大腸スコープを一緒に受けるので、1日がかりです。 1日で上と下からカメラを入れるのはかなり負担が多いので、1日で両方受ける人はあまりいないそうですが、時間ももったいないので、私はもう5年間一緒に受けています。 結果は今年も胃も大腸もまったく問題なしの優等生でした。

さて、今日は糖化についての4回目。2つ目の糖化抑制の素材グアニジン(Guanidine)についてです。
今日は初めにグアニジンの歴史を少し紹介します。
グアニジン、アミノグアニジン、ビグアニド、いずれもインスリンに依存しない(インスリンは分泌できる)糖尿病(2型糖尿病)の人に処方されてきた薬の主要成分で、ビグアナイド剤と呼ばれ、代表的な薬の名前は「メトホルミン(metformin)」と言います。
メトホルミンの歴史は古く、1957年に世の中に発売処方され、日本でも1961年に発売されています。しかし、1979年にこの薬の副作用とも言える、乳酸が貯まりやすいことが原因によって、高齢者を中心に死亡例が出たことで、日本をはじめとする世界各国で使用されなくなりました。ただ、これには原因背景があり、その後の調査で対象となる人と量に注意することで、2型糖尿病の血糖改善効果が高いことが再認識されています。アメリカでは1996年に、インスリンに対して抵抗性を持ってしまうことで血糖値が下がらない、2型糖尿病患者の血糖降下作用が強く、副作用もほとんどないことが報告され、1998年には、糖尿病の合併症の原因となる糖化最終産物(AGE)の抑制効果が高いことが報告され、アメリカではこの20年間でメトホルミンの処方が劇的に増加しています。
残念ながら日本では遅れること8年、2005年になってようやくメトホルミンの有効性が見直され始めたところです。それでも、私の知り得る限り日本では、メトホルミンを2型糖尿病患者に処方する医師はまだまだ少ないように思います。
余談ですが、2010年5月に「メトグルコ」という新薬が日本で承認され発売されましたが、この新薬の基本的な構造はメトホルミンと同じグアニジンを主成分とする薬です。
あれほどメトホルミンを処方しなかった日本なのに、ここに医薬品メーカーと国のどのような思惑があるかは私にはわかりませんが。
さて。前置きが長くなりましたが、今から50年以上も前に開発されたメトホルミンの主要成分であるグアニジンは、元々ゴーツルー(Goat’s rue)と言う植物の花から抽出されたものです。和名をガレガソウ(Galega Officinalis)と言い、ハーブではゴーツルー(Goat’s rue)と呼ばれるマメ科の植物で、別名フレンチライラック(French Lilac)とも呼ばれています。ゴーツルーはヨーロッパを中心に昔からハーブ療法の素材として使われていて、もっとも有名な使い方は、牛や羊の乳の量を増やす目的です。餌としてゴーツルーを食べさせることで、最大50%も乳の量が増えると言う報告があります。名前の「galega」は「乳を増やす」という意味があるのもうなずけます。もちろん人間の授乳期の女性の母乳を増やす効果もあるので、昔から産後の授乳期の女性には重宝されてきたハーブでもあります。

今日はこの辺にしておきましょう。次回はグアニジンのAGE抑制効果についてです。
by nutmed | 2010-09-21 16:13