第911回 糖化抑制の素材 グアニジン(Guanidine) その2

「暑さ寒さも彼岸まで・・」という言葉があるように、この夏からの残暑もどうやら今日で一段落するようです。
今週末にかけて、私は先日作った月見草の花のハーブティーで、秋に向けた体調の修正をする予定です。

さて、今日は、糖化抑制の素材 グアニジン(Guanidine)の2回目です。
グアニジンを主要な成分として含むのは薬ばかりではありません。例えば、アミノ酸のアルギニンもその1つです。私がアメリカで研修していた時の栄養療法クリニックでも、2型糖尿病の患者には、必ずアルギニンのサプリメントを出していました。これはアルギニンを構成する成分に、インスリンの抵抗性を低下させ、糖の代謝を向上させるグアニジンが含まれているからです。だからと言って、低血糖傾向の人がアルギニンを多く含む食材を食べ過ぎると血糖がさらに低下するという心配はいりませんが。

さて、本題のグアニジンの糖化最終産物(AGE)を抑制する作用ですが、糖とたんぱく質が結合して糖化が進んでいく過程で、いくつもの化合物をつくりますが、グアニジンやアミノグアニジンは、これらの化合物が変化して次の化合物をつくる工程を阻止する作用を持っていると考えられています。もちろん糖化最終産物も最後にできる化合物で、この合成も阻止する作用を持っていると考えられます。
糖化が進むことを阻止し、糖化最終産物ができてしまうことを阻止できる可能性が非常に高いグアニジンですが、前回紹介したグアニジンを含んだゴーツルーをたくさん飲めばいいかというとそううまくはいきません。確かにゴーツルーはアルギニン同様、栄養療法やハーブ療法で2型糖尿病の患者や、白内障など糖化による影響改善のために使われる素材です。しかし、ゴーツルーには血圧上昇というもう1つの作用がありますので、この点に注意することと、ハーブに詳しい医療関係者のもとで使うことが肝要です。
この条件を考えると、比較的安全に糖化抑制を行うための素材として、私はメトホルミンが最適な素材だと思っています。ただ、幸か不幸か日本をはじめ海外でもメトホルミンは医薬品ですから、サプリメントのように簡単に使うことができないだけでなく、シワや皮膚の弛みの予防では保険が認められないために、日本の医療施設では処方されることはまずありません。
ただ、もし現在2型糖尿病と診断されていて、以下の条件に合う人では、私は今の主治医に相談しメトホルミン(日本での商品名「メルビン」)を飲んでみることをお勧めします。
1、食事療法に加えて血糖を下げる薬を処方されている人
2、年齢も65歳以下で腎臓の働きが悪くない人
3、血液中のクレアチニンが高くない(男性で1.3、女性で1.2以下)人
4、メトホルミン以外の薬を継続して飲んでいる人

メトホルミンはインスリンの抵抗性を抑えてくれる薬ですが、それ以上に、白内障、末梢神経障害など、糖化による細胞臓器への影響を改善緩和してくれる作用があります。事実、アメリカでは栄養療法を行うクリニックでも2型糖尿病患者の症状改善にメトホルミンは処方されることが多いだけでなく、糖尿病専門のドクターの多くが糖化の抑制による合併症の予防改善のためにメトホルミンを処方することが多く、2型糖尿病の人の合併症予防に効果を発揮しています。メトホルミンには体内の乳酸を上げてしまうことで、体が酸性に傾き、疲れやすくなるなどの副作用が知られていますが、専門医の指導のもと、上記の条件とこの点に注意することで、糖化による合併症の改善には有効な素材だと考えます。
by nutmed | 2010-09-22 06:36