2011年 01月 05日
第977回 アメリカの歯科用アマルガム水銀についての動き

FDAは従来から歯科用アマルガムをClassⅡに分類してきましたが、この10年ほどの間に、米国だけでなく世界中でアマルガム水銀が体内環境に著しく及ぼす影響と危険性の立証から、ClassⅢんい引き下げ、アマルガム水銀自体の使用を制限する法律の改定を求める、有識者および学者、医師、市民団体の強い要望に基づいて開催されたのが、今回の公聴会でした。
結論から言うと、アマルガムに含まれた水銀の影響や危険性に関する科学的な証拠は五万と出ており、それを否定すること自体が、墓穴を掘るに等しい行為であることがようやく理解できたFDAも、アマルガムの使用と代替素材への取り換えに関する明確な規制を具体的に考えることを決めたようで、2011年中にはかなり厳格な規制が出ることが予想されるに至りました。 スウェーデンやノルウェーのように、100%アマルガム水銀素材使用はもちろん製造も、もはやできないほど厳しい規制を持った国々までとはいかないまでも、今年度中にアメリカはようやくアマルガム水銀について大きな一歩を踏み出すことになりそうです。
さて、海のこちらの我が国ではどうでしょうか?
残念ながら、一向にアマルガム素材の使用や、国民に対するアマルガム水銀の健康被害の啓蒙は進んでいません。 非常に後手後手の対応と言わざるを得ない状況です。
私は、以前からアマルガムの水銀についてブログやセミナーでも話続けてきましたが、どうも日本の歯科医の中には、アマルガムの健康被害のことは知っていても、そのことを患者などに話すことを憚る歯科医も少なくないように感じています。 その背景には、以前はアマルガムが歯科充填材料として幅を利かせていたし、もちろん保険で使用できる安価な素材(今でも保険は適用)であったので、歯科医の多くがアマルガムを使っていたという、ひょっとしたら後ろめたさなどの気持ちが働いているのではないかと感じたこともありました。

しかし、アマルガムを使用していた時期には、日本の国がそれを認めて保険まで適用させていた素材であったわかなので、使用していた歯科医に責任はありません。 むしろ、アマルガム水銀の健康被害や危険性がこれだけ明確になっている現状を理解し、1日でも早く患者にそのことを啓蒙すると同時に、安全性の高い代替素材に取り換えることを勧めるべきだと思います。もちろん代替素材への変更に際しては、安全にアマルガムを削除する施術と方法を行うことも忘れてはこまりますね。