第984回 メトホルミン 最終回

思いがけない後部衝突事故から48時間経過して、首の張りはなくなり、背中の張りもほとんど感じなくなりました。バイク乗りの友人の整形外科医のアドバイスに従って、首は固定するのではなく、むしろラジオ体操ほどの軽い負荷稼動をしています。

さて、今日はメトホルミンの最終回です。
数回にわたって紹介してきましたメトホルミンですが、今後も世界中からメトホルミンの新たな作用効果の報告があるものと思いますし、この日本でもいくつかの施設で、がんの治療や予防にメトホルミンを積極的に処方するドクターが出始めているようです。

薬というカテゴリーにありながら、ハーブとして使うことができるメトホルミンは、症状や現在服用している薬、またその他のハーブやビタミンミネラル、アミノ酸を、知識を持った専門家のアドバイスに基づいて上手に使うことで、有効な素材であると言えます。
ただし、他の薬やビタミンミネラルなどのサプリメントと同様、メトホルミンの服用に際しては注意するべきことがないわけではありません。 最終回の今日は、その注意点を紹介します。

乳酸の蓄積
もともとメトホルミンが一時的に世界中のドクターから敬遠された原因の1つになったのが「乳酸」でした。ご存じのように、乳酸という物質は、人間にとって無くてはならないものではありますが、過剰に蓄積することで、筋肉疲労を助長することがあります。最近の研究では、十分な酸素を供給することでメトホルミンを服用しても乳酸は蓄積しにくくなることが報告されていますので、酸素が不足するような環境を作らないことが大切です。例えば、暖房器具、特に燃焼暖房器具を使う場合には、部屋の喚起を小まめに行い酸欠状態を作らないことが大切です。また、風邪や花粉症で鼻つまりを起こすことで、空気の通り道が制限されるため、思いのほか酸素不足に陥ります。
乳酸が少しでも蓄積すると影響のある以下の症状を持っている方も、メトホルミンの使用には主治医と相談をするべきでしょう。
・心不全の経験者および治療中
・腎不全
・肝臓機能障害
・一部の脂質異常症改善薬(フィブラート系薬剤)の服用者

その他の注意
・インスリン非依存性糖尿病(Ⅰ型糖尿病)患者ではメトホルミンは使用するべきではありません。
・甲状腺機能低下症またはその可能性のある方
 橋本病をはじめとする甲状腺機能が低下している人では、メトホルミンを服用することによってTSH(甲状腺刺激ホルモン)が低下するという報告があります。
・高齢者
・血中クレアチニン高値の場合
by nutmed | 2011-01-20 13:10