2011年 01月 26日
第988回 SAMeの治療効果あれこれ
さて、今日はSAMeの3回目です。
アメリカや欧州で、栄養療法だけでなく精神神経領域におけるSAMeを使った治療で、最も有効例が多いのは、おそらくうつ病およびうつ様の症状だと思います。事実、欧米では一般的なうつ病治療のための抗うつ薬の副作用を軽減することや、抗うつ薬に反応し難い患者に対して、SAMeと抗うつ薬を併用すること、またSAMeの単独使用で症状の改善に有効であることがたくさん報告されています。
アメリカのテネシー州ブリストルという街で、栄養療法クリニックを開業して20年になる私の友人のドクターは、2004年からうつ病または軽いうつ症状をもった患者に対して、いわゆる抗体うつ薬を一切処方せず、SAMeやDMAE(ジメチルアミノエタノール: Dimethylaminoethenol )を使うことで、副作用の軽減や治療効果の向上を見ています。
このドクターは、1日あたり500-1,500mgのSAMeを2-3回にわけて患者に飲んでもらっていますが、抗うつ薬に多い「口の渇き、吐き気、過食、体重増加、便秘、手の振るえ」などの副作用はほとんど現れず、治療経過も非常に良好で、早い患者では、1カ月ほどで生活上の変化を感じる人もいるそうです。
2010年にハーバード大学とマサチューセッツ総合病院の共同研究チームによる発表では、抗うつ病薬として最も一般的なSSRI剤に加えて、1回あたり800mgのSAMeを1日2回服用してもらったところ、従来SSRI剤だけでは症状に変化が見られなかった患者の中の約30%に、症状のポジティブな変化が見られたことを報告しています。
SAMeはうつ病だけでなく、アルツハイマー性痴呆症、パーキンソン病の治療および予防にも有効であることが報告されています。特に、この2つの症状では、脳内のSAMeの量に比例して症状が悪化していくことが報告されていて、SAMeの量が低いことがアルツハイマー性痴呆症、パーキンソン病に直接的に関係がある可能性があります。アルツハイマー性痴呆症、パーキンソン病の予防として、SAMeを1日あたり200-4
00mgを継続摂取することで予防効果が、また1日あたり500-1600mgのSAMeを継続服用することで、症状の改善に有効であると報告されています。
また、SAMeは肝臓におけるアルコールの分解能力を向上させ、肝臓の機能を高める作用があることもわかっており、アルコール性の肝硬変の予防にも有効だと考えます。