2011年 01月 27日
第989回 筋力アップとうつ病
さて、今日は前回までのSAMeで取り上げたうつ病繋がりでトピックスを1つ紹介します。
筋力アップに有効なアミノ酸の摂りすぎが、うつ病のリスクを高めてしまうかもしれないという内容です。
うつ病の栄養療法による症状改善、治療のアプローチでは、ビタミB3(ナイアシンアミド)のメガドース療法の有効性が世界中で報告され、日本でもいくつかのクリニックで行われ効果が出ているようです。
ビタミンB3がうつ病の症状改善に有効である背景には、ビタミンB3が間接的に、うつ症状にかかわるセロトニンの生産量を増加させるからです。以前のブログ参照
セロトニンの原材料となるのはアミノ酸のトリプトファンですが、同じアミノ酸のロイシンを過剰に摂取することによって、セロトニンの生産にかかわるトリプトファンとVB3の代謝が低下することがわかっています。また、ヴァリンというアミノ酸の吸収と代謝も低下します。
さて、ロイシンやヴァリンと言えば、思いつくのはBCAA(分岐鎖アミノ酸:Branched Chain Amino Acids)ですね。 日本でも某薬品系清涼飲料水メーカーがBCAAを商品名にまでして、大々的にPRしていたことがありますね。 あの時にはジム通いの方々や、鏡の前でナルちゃんになってしまう男性諸氏がこぞってBCAAを摂っていました。
そのBCAAを構成するのはロイシン、イソロイシン、ヴァリンの3つのアミノ酸です。以前にロシアの研究チームがBCAAに関して興味深い報告をしています。筋力強化のためにBCAA(分岐鎖アミノ酸)を常飲していたアスリートでは、一般の人に比べうつ病症状が出やすいとい内容の調査報告ですが、この背景として、ロイシンの過剰摂取による、間接的なセロトニン合成の低下の可能性がないとは言えないでしょう。ロイシンは、日常的に食べている食材には、普通に含まれているたんぱく質ですが、一般的には食材だけでロイシンの過剰摂取ということは考えにくいでしょう。しかし、サプリメントや清涼飲料水などのように、ロイシンだけが著しく配合強化された素材を日常的に摂取することによって、過剰摂取に影響がでないとは言えません。
日本でもランナー、アスリート、ジム通いの人までこぞってBCAA飲んでましたね・・