第T20回 今だからこそ震災後の栄養事情を考える

東電、自衛隊、警察、消防、福島県の職員など、原発の前線で作業する皆さんの頑張りっもあり、原発の施設における最悪の状況は改善されつつあるようです。しかし、一方で放出されているヨウ素やセシウムと言った放射性物質の残留濃度が日常生活に及ぼす影響がではじめました。 

セシウムやストロンチウムといった放射性物質は、今話題になっている放射性ヨウ素と異なり、長いものでは30年近い時間を経ないと、放射線放射の機能が半分にならない、逆を言えば、30年経ってようやく作用が半分になるということです。 
大雑把な言い方をすると、私が描いている最悪のシナリオは、震災と原発の影響によって、日本の食糧事情はもちろんのこと、そこから影響を受ける栄養状態にも深刻な影響をもたらす可能性ということです。日本の伝統的な食文化にさえも影響を与える可能性も否定できません。
皆さんの多くは、国産で賄えなくなった食材は、古米を拠出したり近隣諸国からの輸入で賄うことができると考えているかもしれませんが、今から18年前の1993年に起きた冷夏による戦後最大の米不足のときのことを覚えているでしょうか。古米の拠出が限界に来て、中国、タイなどから緊急的に米の輸入をしました。しかし、幸か不幸か、味覚に厳しい日本人の口には中々あわなかったことがありました。
おそらく今後しばらくは、レトルト食品や冷凍食品などの加工食品の流通量が増え、やむを得なくそれらの加工食品を摂らざるをえない状況がはじまるでしょう。これらの加工食品には、強化剤や製造用剤として多くのリンが添加されていることが少なくありません。 また、水道水の放射能汚染の影響が続くことで、清涼飲料水の摂取が増えるかもしれませんが、これらの飲料水にもリンが添加されているものが少なくありません。リンというミネラルは日本人にとって日常的に不足することは考えられないミネラルの1です。リンの過剰な摂取によって体内環境に起きる可能性の最大のものは、腎臓の働きへの影響です。常時過剰なリンを摂取することで、リンの腎臓からの排泄が促進し、これが慢性化することで腎不全のような症状があらわれることがないわけではありません。 腎臓の排泄機能に変化がおきると、体内のカルシウムの排泄が進み、カルシウムバランスが影響を受け、その最大の影響は甲状腺の働きへの影響です。
今、上へ下への大騒ぎになっているヨウ素ですが、放射性ヨウ素131が甲状腺に吸収されることは防ぐことができます(逆に言えば甲状腺に吸収されるヨウ素131の予防にしか有効ではない)が、実は、知らず知らずのうちに、放射性物質とは無縁のところに甲状腺の働きに影響を及ぼす落とし穴があるわけです。
また、慢性的なリンの過剰摂取は、カルシウムとマグネシウムのバランスに影響を与えますので、インスリンの分泌に直接的に影響があり、血糖のコントロールに影響を及ぼすことになります。 子供の場合にはいわゆる多動症状との関係があると言われています。

このような状況を招かないようにするためには、日本全国で言われているように「冷静な判断と冷静な行動」であることは間違いありませんが、こんなときだからこそ、サプリメントを有効利用することを考えてみてもいいと思います。
放射能で汚染された食材の出荷停止と風評被害によって、旬の新鮮素材をはじめ、食材の選択肢はさらに狭くなることが予想されます。また、長引く被災地での復興と、避難地での生活は想像を絶するストレスを蓄積することになるでしょう。その意味から、この2点を予防改善する以下の栄養素がこの時期に必要であり、これらをサプリメントを使って積極的に補助することを考えるべきだと思います。
・ビタミンB群(B1,B2,B3,B5,B6,葉酸、B12):精神神経の働きと新陳代謝に必要なエネルギーの源
・ビタミンD:免疫力向上と骨の新陳代謝向上
・マグネシウム:糖代謝とストレスコントロール
・銅:糖代謝とストレスコントロール
・ビタミンC:ストレスコントロール
・必須脂肪酸:新陳代謝とストレスコントロール

by nutmed | 2011-03-24 16:54