第T21回 乳幼児と高齢者のビタミンDの積極摂取を!

相変わらずヨーロッパやアメリカ、カナダ、オーストラリアに住む友人たちからは、連日のようにメールがひっきりなしに飛んできます。その内容のほとんどが「放射能汚染は大丈夫か?」「そろそろ日本を離れたほうがいい」などです。心配してくれることは嬉しい限りですが、彼らをここまで駆り立てる背景には、日本と海外では、情報源と分析能力に大きな違いがあることだと思います。そして、今回の原発周辺の避難距離や対応を見ても、日本以外の全ての国が、「まず最悪のシナリオを考えて対応する」ことに対して、日本の場合には「現状のシナリオに則した対応をする」という違いがあると感じます。海外の対応は初期段階で事の次第が大きくなりがちですが、対応が後手に回ったり市民の不安を掻き立てることはないでしょう。今回の震災後の国民、政府、メディアの対応を見て、日本のと海外の対応には大きな違いがあることを感じるとともに、情報鎖国の状況を痛感しました。

さて、今日は、震災後に私が懸念するもう1つの体内環境の変化と、その対応方法についてです。
東京を中心とする1都6県では、連日のように生鮮食品の品薄状態も徐々に緩和され始めているようですが、ここにきて、原発の放射性物質の水に対する影響が市民の不安を募る状況です。 このような状況の中で、今後懸念される体内環境の変化の1つに、骨の成長に関わる影響があると私は懸念しています。
前回のブログでリンの過剰摂取の影響を紹介していますが、リンが過剰になることで、結果として体内のカルシウムの排泄が進む可能性が高くなります。これに加えて、カルシウムが豊富な魚貝類、海藻類の品薄状態が続いていることで、カルシウムの摂取量もにわかに低下すること。放射線被ばくの不安が、屋外にでることを躊躇させ、紫外線によるビタミンDの合成を低下させること、特に成長期の乳幼児、小児がビタミンDの合成が低下すること。食品の放射線物質の影響の不安から、生および乾燥を問わずビタミンDが豊富なしいたけが敬遠される可能性など、骨を造る素材と機能性物質の不足を助長するような背景が、今後徐々に増える可能性が心配です。
このような状況の中、成長期のお子さんがいるご家庭の方は、まずお子さんの日光浴を意識していただきたいと思います。1日に10-15分程度で結構ですし、窓を閉めた状態でも結構です。直接の紫外線でなくても、間接的紫外線でも結構です。これによって、お子さんの皮膚でビタミンDの合成をしてくれ、骨を造る働きが向上します。こういう時期なので、食材の選択にも神経質になることは理解できますが、過剰に神経質にならず、カルシウムだけでなく体内環境に不可欠な栄養素が豊富な食材を意識して摂ることを考えてください。

高齢者に対しては、サプリメントなどを上手に使い、食材から摂取できないビタミンDを補ってあげるといいと思います。特に高齢者の方は、今回の震災とその後の生活への影響が想像以上にストレスとなっているはずで、落ち込み、不安、不眠、血圧の上昇などの症状として現れているかもしれません。私が高齢者のビタミンD不足にお勧めする素材はタラの肝油です。タラの肝油にはビタミンDのほか、DHA/EPA、ビタミンA、ビタミンEが豊富に含まれており、以下のような働きも確認されています。
・血圧の抑制(血圧の安定化)
・骨および歯の形成促進
・視力低下の改善
・カルシウムとマグネシウムの吸収を促進
・アルツハイマー性認知症の予防
・記憶力、集中力の向上
by nutmed | 2011-03-28 12:42