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第T29回 強迫神経障害の広がりが懸念されます

先週土曜日、福岡で仕事がありまして前日金曜日から福岡入りしました。夕食で寄った店で福島から避難しているという初老の男性と一緒になり、「世界中の人が支援してくれていることは大変嬉しいことです。でもこれはテレビを通して映し出されるドラマやエンターテイメントじゃないんです。事実なんです。今はいいんです。でも震災に遭った者にはこれが風化してしまうことが一番恐ろしいことなんです。」と切々と語っていたのが心に響いています。確かに今は日本人一致団結気運がピークなのでいいかもしれません。このあともそれを持続させるためには、ペース配分考えないといけません。

さて、今日は強迫神経障害OCD:Obsessive-compulsive disorder)についてです。 私の友人で震災地に支援活動に出ているドクターからのメールで、震災の恐怖や不安で強迫神経障害の症状がでていることを聞きました。OCDは遺伝的な背景もあると言われている一方で、著しい不安、または、苦痛を引き起こす強迫観念によって引き起こされる恐怖症の1つと考えられています。ですから、今回の長い時間続く大きな揺れと津波、停電、家屋崩壊など、非日常的な状況が著しい不安となり、恐怖感が完成的に続く症状がOCDです。
症状には個人差がありますが、手洗い、いつも何かを確認する、祈る、数を数えるなどの行動が一般的で、この行動が反復するのが特徴的です。この症状が長期間続くことで、日常生活が妨げられ、場合によっては妄想を抱くようになります。OCDという症状は以前から認識されていましたが、長い間稀な症状であると考えられていたことや、患者とその家族が、これらの行動を恥ずかしく思い、秘密に保とうとしていたことも、正確な人数が確認できなかった理由だと思います。

治療にはプロザックやパキシルなどの薬物療法が主な治療法になりますが、栄養療法での治療法も有効とされており、以下の素材がOCDの栄養療法に使われます。
①L-Theanine:テアニン
L-テアニンは茶から抽出された遊離型アミノ酸(たんぱく質を構成しないアミノ酸)で、自然界では茶とある種のキノコのみに含まれる非常に稀少なアミノ酸です。GABA(γ-アミノ酪酸)の増加作用、ドーパミンの生産増加作用があります。緑茶には1-2%のL-テアニンが含まれています。
1日あたり5-6杯(42mg/杯)の緑茶を飲むことで、230mgのテアニンを摂取することができます。
②イノシトール
イノシトールは、脂質を体内に吸収輸送する際に神経情報伝達に関わる物質です。イノシトールが多くの神経障害の改善に有効であることが報告されています。13名のOCD患者に1日あたり18グラムのイノシトールを6週間投与した結果、プラシボ群に比べてイノシトール投与群のほうが著しく症状の抑制が可能であったと報告されています。OCDの改善には、1日あたり0.5-1グラムのイノシトールを毎食後服用すると有効です。
③トリプトファン
トリプトファンは、以前からブログでも何回となく紹介している、神経機能には重要なアミノ酸の1つで、神経伝達物質セロトニンの唯一の先駆物質です。薬物療法に反応しないOCD患者には、トリプトファンの投与によってセロトニン生産をあげることが有効であるかもしれません。OCD患者に対するトリプトファンは1回あたり2グラムを就寝前の空腹時服用が有効です。

by nutmed | 2011-04-20 08:58