2011年 07月 14日
第T77回 栄養医学トピックス その1
この開示内容を見る限りでは、すでに震災直後の原発施設の損壊によって放出されたとみられる放射性物質の汚染拡大は、想像以上に広い範囲に拡大していることがわかります。
ここへきて、セシウムが付着していた稲わらを食べた牛の精肉から、高濃度のセシウムが検出されたことが報道されていますが、この海洋汚染状況と駿河湾沿岸にまで及ぶ高濃度汚染地域を考えると、今後の問題は魚貝類、海藻類になることは間違いないところだと思います。 5月の私のブログで、放射性物質から体を守るポイントを何回かに渡って紹介しているので、参考にしてみてください。
さて、ここしばらく間隔があいてしまいましたが、栄養医学、健康にかかわる最近のトピックスを数回にわけて紹介をしたいと思います。1回目の今日はCoQ10と乳がんについてです。
最近でこそあまり話題にはならなくなったCoQ10(コエンザイムQ10)ですが、今年の4月に、がんの疫学的研究雑誌に発表されたハワイ大学の研究チームによる、CoQ10と乳がんの発症率の報告は興味を引きました。
340人の乳がんを患った女性と、653人の謙譲な女性の血液中のCoQ10とトコフェロール(VE)の値を調べた結果、乳がん女性には血中のCoQ10が低い傾向が見られ、逆にCoQ10が高い女性では、同様に血中のαおよびγトコフェロールが高いことがわかったというものです。また、CoQ10が低い女性では、その後1年以内に乳がんを発症する率は高い傾向にあるとしています。
以前からの研究報告で、トコフェロールと乳がんの発症率にはかかわりがあることが報告されていますが、今回の報告のようにCoQ10がαおよびγトコフェロールの吸収または代謝に何らかの影響があることを示す報告はなかったと記憶しています。