第T82回 栄養医学トピックス 飛蚊症の改善

第T82回 栄養医学トピックス 飛蚊症の改善_d0070361_1131183.jpg 大型台風のマーゴンは中部圏を中心に爪痕を残し、日本の南東方面に去り、台風一過の週末になりました。この週末は再び猛暑が戻ってくる予報です。しかし、週末の天気予報図を見ると、南東に下っていった迷走台風マーゴンは、再び鎌首を持ちあげるように北に進路をとり、この週末にかけて北上する進路です。このおかげで、福島原発から依然放出している放射性物質の飛散が広範囲にわたり、西は名古屋近辺から、新潟、山形に至るまで広範囲に飛散する予想がドイツ気象庁のシュミレーションで発表されています。もちろんこの範囲の中に東京、神奈川、埼玉、群馬、千葉を含む関東もすっぽり入ることになり、放射線量は上昇するとみられます。週末の外出時は注意してください。


さて、今日はパソコンの普及にともなって増加傾向にあるとも言われる、飛蚊症(Floarters)の改善について、私の体験を含めて紹介します。
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飛蚊症とは?
飛蚊症は、視野の中に糸くずのようなものが浮かんで見える症状を言いますが、黒いものであったり、半透明であったり、または白かったり形や色は様々のようです。加齢によるものや、紫外線量の強い環境と考えられてきましたが、近年のパソコンやゲーム機、テレビの使用頻度が増えることによって、中高年の人だけでなく、10代、20代でも飛蚊症の症状を訴える人が増えています。原因には、老化、慢性的な眼精疲労、糖尿病、高血圧、活性酸素、目の殴打などがあります。これに加えて、紫外線や刺激の強い波長の光を受けることによる発症もありますが、多くの原因の背景には「活性酸素」があると考えられます。糸くずのように硝子体に浮遊するものの多くは、網膜からはがれたたんぱく質や血液の塊です。 年齢は若い時にはプロテアーゼ(たんぱく質分解酵素)や抗酸化作用を持った栄養素や機能性成分によって、、これらの物質を分解することも、抗酸化作用によって酸化を防ぐこともできますが、加齢とともにこれらの酵素や栄養素、抗酸化物質の吸収および代謝の低下によって、飛蚊症の症状が出やすくなると考えられています。

飛蚊症の症状改善方法
通常の眼科で行われる症状改善および緩和には、外科的手術のほか、セラペプターゼというたんぱく質分解酵素を配合した点眼薬を処方するなど、様々な治療方法があります。栄養療法では、硝子体の酸化の抑制を目的に、ビタミンA,C,Eの抗酸化ビタミンに加え、マグネシウム、セレニウム、タラの肝油(オメガ3必須脂肪酸)、タウリン、リジン、ルテイン、ジアキサンチン、またハーブ療法素材として、ギンコ、ショウガ、リコリス(甘草)、ブルーベリー、ブラックベリー、ドンクアイなどを使います。これらの栄養素、機能性素材のほかに、食材としては抗酸化能力の強いパプリカ、オレンジ、ブロッコリー、ニンジン、ブドウなど、「原色」の濃い素材を意識して摂ることも有効です。

私自身も飛蚊症でMSMを使っています
実は私自身、この2年ほど前から飛蚊症の症状が顕著になりはじめ、バイクや車の運転の際、また読書の際にはうっとおしい状況がありました。そこで、この6月初旬からアメリカのテネシーで栄養療法クリニックを開業している、20年来の友人のドクターから、MSMの点眼剤を取り寄せて使いはじめています。彼は、以前から飛蚊症の症状改善に、上記のビタミンミネラル、アミノ酸に加えて、日本でも食品として扱われるようになってからそれほど時間が経っていない、MSM(Methyl Sulfonyl Methane)をこの10年ほど処方しており、効果を上げています。 

MSMとは?
MSMは人間でも副腎で作られる硫黄成分を基質とする機能性成分で、すべての酵素とアミノ酸に硫黄を供給し、ビタミンB5、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、セレン、カルシウム、マンガン、CoQ10が作用するためには不可欠な物質です。また、MSMは細胞膜を栄養素、水分、酸素が透過しやすくするために、常に膜を柔軟に保つ働きをしていおり、眼球表面の膜に対しても同様の作用があると考えられています。事実、白内障の治療に強力な抗酸化作用を持つグルタチオンとともに点眼薬として使われたり、眼球の圧力が高くなることで障害を起こす緑内障の治療にもMSMは使われています。 言ってみれば、MSMが持つ細胞膜の損傷改善作用と、膜の透過性向上作用によって、糸くずのようなたんぱく質(血液など)を分解するとともに眼球から排除することを促進する働きがあると考えられています。

効果のほどは?
この6月からMSMの点眼を使っていますが、明らかにMSMの点眼を始めた6月以前よりも、目の中をさまよい浮かぶ糸くずのようなものは減っています。いわゆる「なんとなく少なくなったような気もしないでもない・・」というような曖昧なものではないことは間違いありません。特に左目に浮かぶものが多かったのですが、うっとおしさを忘れてしまうほど、視野からは明らかに減っています。起床と同時に最初の点眼をし、就寝前までほほ1時間おきに点眼をします。忘れてしまうこともありますが、習慣づけて点眼することが大切だとテネシーの友人ドクターから言われていたので、家とオフィスに同じものを常備してわすれないように心がけてきました。もちろん、MSMの点眼だけでなく、6月以前から、ビタミンA,C,Eに加え、マグネシウムの足浴、原色野菜の摂取、グルタチオンの静脈注射と点眼を定期的に行ってきましたが、この6月のMSM点眼以降ほどのインパクトのある症状の改善は感じられなかったことを考えると、私の飛蚊症の改善にはMSMの点眼が非常に有効だったと考えています。

これからも、今回のように自身の栄養療法経験を少しずる紹介していきたいと思います。私も人生半世紀を過ぎて、パーツに加齢性の影響も出始めているのは自然の摂理だと思ってはいますが、やはり改善できるのであれば改善し、その成果を皆さんにも紹介できればと思いますしね。

さあ、明日から週末ですが、冒頭話したように今週末は放射性物資の飛散量が多く、特に東京方面への飛散量は多くなると思われますので、外出時は注意をしてください。

それではよい週末を!
by nutmed | 2011-07-22 17:20