第T85回 栄養医学トピックス 乳・卵巣がん予防にアピジェニン その1

 第T85回 栄養医学トピックス 乳・卵巣がん予防にアピジェニン その1_d0070361_1531516.jpg 2週間ほど前の猛暑に比べると、幾分夜も過ごしやすくなり、寝汗をかいて起きてしまうこともなかった今週ですが、来週にはまた熱波がやってくるようですから、熱中症には十分注意してください。
我家の近くの森で、今年もひぐらしが夕方と早朝に鳴きはじめました。今年はダメかなと思っていたので、何か心の中で嬉しくなりました。あのどこか物悲しくもあり、哀愁さえ感じる鳴き声を、いつまで聴くことができるのかと毎年思っています。
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さて、今日は前回の乳がんの予防つながりで、乳がん・卵巣がんの予防に有効である可能性が見えてきたフラボノイドの1つ、アピジェニン(Apigenin)について紹介します。
アピジェニンは。セロリ、パセリ、シソの葉、カモミール、トマトソース、赤ブドウに含まれるフラボノイドで、細胞や末梢の血管、神経で炎症を起こす際に関わる、COX-2(シクロオキシゲナーゼ‐2:cyclo-oxygenase)を抑制する強力な作用を持つことが確認されています。COX-2を抑制するフラボノイドには、最近TVの健康番組でも話題になった、レスベラトロール(Resveratorol)、果実のマンゴスチンから抽出されるγ-マンゴスチン(γ-Mangostin)、プロポリスから抽出されるクリシン(Chrysin)、ビールホップから抽出されたフムロン(Humulon)があります。

2009年にハーバード大学の研究チームが、医学雑誌(International Journal of Cancer)で発表した内容によると、1141人の卵巣がんと診断された女性と、1183人の健康な女性(両方の女性の平均値玲51歳)を対象にして食事内容のアンケート調査を行いました。調査集計の結果、卵巣がんと診断されている女性グループでは、健康な女性のグル―プに比べ高カロリー食摂取の傾向が見られた。また、カリフラワー、レーズンなどのフラボノイドリッチな素材を日常的に意識して食べている女性では、卵巣がんの発症率が低いことがわかりました。
さらに、セロリ、パセリ、カモミール、トマトソースというアピジェニンが豊富に含まれる素材を、毎日食べている女性では、卵巣がんの発症率は明らかに低くなり、そうでない女性たちに比べ28%低くなっていることがわかりました。
統計学的な研究調査ではありますが、アピジェニンには、がん細胞の発現を含めた炎症の原因となるCOX-2の抑制効果が高いことを裏付ける報告だと思います。

次回はアピジェニンと乳がん予防について・・
by nutmed | 2011-07-28 17:10