2011年 12月 15日
第1148回 コレステロールの管理 その2

さて、今日はコレステロールの管理の2回目です。
今日はまずコレステロールの作用について見てみましょう。
1、コレステロールは体内で必要とされるときに合成される。
2、1日をとおして体内で必要とされるコレステロール量は異なる。
3、コレステロールの血中濃度は冬場(温度が低い時)に高く、夏場(温度が高い時)に低い。
4、コレステロール(LDL)は怪我をしたり手術を受けた後の細胞や皮膚が損傷した場合に血中濃度は高くなる。
5、コレステロールはストレスが高くなると需要(合成)も高くなり血中濃度もあがる。
6、心筋梗塞のリスクが高い場合、また心筋梗塞が起きた直後はコレステロールは高くなる。
上記の6つのコレステロールの実情には共通するものがありますが、それは「治癒(Healing)」ということです。
コレステロールの中でも、ホルモンを合成し細胞の膜を作るために必要なLDLコレステロールには、体内で起きている細胞や筋肉の損傷、細菌やウィルスの侵入、有害な化学物質・重金属の侵入、細胞(膜)の酸化ダメージ、炎症を治癒する際に最初に動き出す物質でもあります。体内でこれらの状況が起きると血液を介してシグナル(信号)が送られ、肝臓からLDLコレステロールが、損傷や異物の侵入が起きている場所に送られ、細胞の損傷を修復するプロセスに入ります。損傷が修復されると今度は肝臓からHDLコレステロールが送られ、LDLコレステロールを肝臓まで運び戻し、その後体外に排泄されます。
コレステロールが高くなるということは確かに心臓や脳、血管の働きにはマイナスの影響を与えることも事実ですが、コレステロールはホルモンの源でもあり、細胞の構成成分でもあり人間にとっては不可欠な脂質でもあるわけです。
検診や人間ドッグの血液検査でコレステロールが高いからと言っても、ただちに「脂質異常症」や「メタボリック症候群」と判定され、薬の投薬ということにはいささか疑問もあります。コレステロールはこのように体内環境にとっては不可欠な脂であることを考えれば、一時的な血液の数値だけで、一喜一憂することなく、高い場合には高い成りの原因と背景を十分に知ることが大切だと思います。