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第1156回 重金属「ヒ素」について

成人式の3連休、皆さんはどのようにお過ごしでしたか? 新年があけて間もない3連休だったので、正月休みを引き継いでのんびりと過ごされた人も多いのではないでしょうか。私は、2月1日に控えている栄養医学研究所の引っ越しの第一弾として、週末は川越の新オフィスまでロッカーや書棚などの大物を運ぶ作業で新富町と川越の往復をしていました。新オフィスのそばには川越名物さつまいもずくしの料理で有名な「いも膳」という料理屋があり、早速週末にいもずくしの料理を堪能してきました。 いままで栄養医学研究所があった東京都中央区新富も、昔ながらの人情味とした街風情の残る街ですが、今度の移転先川越は、それ以上に古い街並みが残る、下町情緒と生活感が色濃い歴史と文化の街です。

さて、今日も引き続き重金属をテーマにして、今日は「ヒ素」について紹介します。
ヒ素と言えば、日本人の脳裏に強いインパクトを残したのが、今から14年前の1998年7月25日に和歌山県で起きた、俗に言われる和歌山カレーヒ素混入殺人事件ではないかと思います。腸内の子供会で作ったカレーに猛毒のヒ素が混入され、それを食べた71人が腹痛嘔吐で病院に運ばれ、うち4人が死亡したあの事件ですね。 あのときに被害者の毛髪から検出されたのがヒ素でした。
ヒ素は汚染された環境中に多く見出されます。無機のヒ素が体内に入ると瞬時に死に至ります。体内に入った亜ヒ酸塩は血液中を流れ、爪、毛髪、および皮膚の組織に蓄積されます。かつては、非常に少量のヒ素を貧血の治療や疲労回復薬として用いていた歴史もあり、オーストリアのチロリアン地方の住民は、スタミナを得るため、また病気にかからないようにするため「ヒ素を積極的に食す民族」として知られています。
中毒症状
ヒ素による中毒症状としては、脱毛症、精神的混乱、便秘、傷の治りが遅くなる、皮膚炎、下痢、居眠り、浮腫、疲労、筋肉痛、感覚異常、発作、腎臓、膵臓の機能障害および衰弱が報告されています。
慢性的なヒ素の暴露は、貧血、骨髄機能障害、呼吸器系の癌、皮膚、および神経障害をもたらすことが知られています。特に空腹状態の胃に多量のヒ素が入ると心筋が動かなくなり死に至ることも報告されています。
少量のヒ素でも、長期間に渡り慢性的に暴露することによって、爪、毛髪、尿中のヒ素濃度が高くなり、脱毛を招くことがあります。
血液中のヒ素濃度は死に至るような高い濃度にならないと分析することは難しいため、爪や毛髪中のヒ素を分析することが知られており、古くから法医学検査として用いられています。
ヒ素が高くなる背景
重金属精錬業、産業公害関連業、塗装業(ヒ素が含まれるペイント使用の場合)に従事する方の場合、そうでない職業の方に比べたヒ素濃度が高くなる可能性があります。また喫煙者でもヒ素濃度が高くなる場合があります。タバコには微量のヒ素が見出されており、これが肺がんの原因ではないかとも考えられています。汚染された水、および魚(天然のうなぎ、イカ、エビ、貝類)を食べることによっても体内蓄積ヒ素濃度は高くなります。
ヒ素の解毒方法
急性ヒ素中毒の場合には緊急処置が必要のため医療施設における治療が必要となります。
慢性的暴露が疑われる場合には、抗酸化物質の摂取を勧めます。特にビタミンC、アスコルビン酸カルシウム、ビタミンE(トコフェロール)、ビタミンB6、および硫黄が含まれるアミノ酸を摂取することをお勧めします。
加えて、ヒ素はヨウ素、および、セレンの吸収を抑制することが報告されていますので、ヨウ素、および、セレンの摂取も考慮する必要があります。
by nutmed | 2012-01-10 14:20