第1211回 グルテン不耐性と脂肪吸収障害 その1

昨日の関東地方の雷雨突風に雹の来襲に遭遇してしまった人も多かったのではないでしょうか。栄養医学研究所のある川越も、昼過ぎには西北の秩父連山方面から怪しげに育った黒い雲が張りだしたと思っているそばから、水の匂いが立ちこめ、空気がひんやりとしてきて雨と雷がはじまりました。 今の川越は快晴ですが、すでに秩父方面には怪しげな積乱雲が育ち始めていますので、今日の午後もやはり・・・

さて、今日の話は私のブログでは以前から幾度も扱っている小麦グルテンにまつわる話です。グルテンについては以前のブログを参考にしてください。

小麦グルテンに対する耐性が無くなるまたは低下する不耐性によって発症するセリアック病、またはセリアック様症状(non-celiac gluten sensitivity:NCGS)の最たる症状の1つが腸の機能低下または障害による、栄養吸収障害(malnutrition)です。 この栄養吸収障害の中にはカルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛などのミネラルの吸収障害のほか、ビタミンA、ビタミンDなどの脂溶性ビタミンの吸収障害も顕著に見られます。
今回はこの脂の吸収の仕組みと、小麦グルテンによる脂質吸収の影響について紹介します。
*3つのステップからなる脂質の消化分解
脂溶性ビタミンを含む脂質の吸収に際して、脂質の消化分解には3つのステップがあります。
第1ステップ
胆のうは、食物から摂取した脂質を吸収しやすくするために脂質の分解を促進する胆汁をたくさん生産するために、それまで溜っている胆汁を一度空にする。
第2ステップ
膵臓で作られた消化酵素によって、食物から摂取した脂質は脂肪酸とリン脂質に分解される。
第3ステップ
分解された食物から摂取した脂質は、小腸へ至り吸収され、肝臓に運ばれ脂肪酸が再合成されるとともに、蛋白質、コレステロール、およびリン脂質と結合して、リンパ系によって体内各所に輸送される。

この3つのステップのいずれかが上手く機能しなくても脂質の吸収は低下することになりますが、その背景に小麦グルテン不耐性の影響が少なくありません。脂質の分解が正常に行われず、吸収が低下することで以下のような症状を起こすことになります。
下痢
脂肪便
腹部膨満と痛み
悪臭ガス

グルテン不耐性の腸の症状で最も多いのは便通に関する症状で、中でも下痢と腹部膨満でしょう。その原因は、正常に消化分解されずに、小腸で吸収されなかった脂質は、腸の中を旅する過程で小腸の下部と大腸近辺で脂肪酸に分解されることになりますが、大腸付近に集まった過剰な脂肪酸が水分を集め、大腸から再吸収され切れずに残った過剰な水によって下痢がおこります。

次回は小麦グルテン不耐性と脂質吸収障害の確認方法について
by nutmed | 2012-05-29 14:57