2012年 06月 19日
第1221回 糖尿病は軽度の炎症と心得るべき その2
さて、今日は前回に続いて糖尿病は軽度の炎症の2回目です。
いわゆる2型の糖尿病の背景の多くがインスリンに対する抵抗性を持つことによるものであることは前回紹介しました。中でもオーバーカロリーな食生活による脂質の代謝に影響が出ることで炎症を来し、インスリンに対して抵抗性を持つことのほか、全身性の細胞における酸化ストレスが炎症をスタートさせ、インスリンに対する抵抗性が高くなることが2007年に米国ペンシルバニア大学の研究チームによって発表されています。この全身性の酸化ストレスの中には、喫煙、飲酒のほか、薬剤、重金属の蓄積による影響も考えられます。
彼らの研究報告で興味深いのは、日本のマスメディアや健康関連サイトなどでも言われてきた、細胞の酸化ストレスが高くなることと、抗酸化物質の不足によって、インスリンに対する抵抗性が高くなるということよりも、インスリンに対する直接的な原因は、細胞の酸化ストレスが引き金となって起きる炎症による可能性が高いと言う報告です。
報告の中では、マウスを使った実験ではありますが、インスリン抵抗性を改善する機能性成分として2つの素材を揚げており、それは以前から私のブログでもおなじみのN-アセチルシステイン(N-Acetyl Cysteine:NAC)とR-α-リポ酸です。
NAC:Nアセチルシステイン
日本でも最近強力な抗酸化作用を持ったN-アセチルシステイン(NAC)が注目されていますね。
NACは硫黄性のグルタチオンを合成するために必要なアミノ酸で、体内に蓄積した水銀・鉛などの重金属の排泄を促すアミノ酸です。
システインは、体内環境の状態によって体内で合成することができない硫黄の成分を持つ含硫アミノ酸の1つで、シスチンと双子のような関係にあり、シスチンはシステインが安定した形と考えられているます。含硫アミノ酸であるシステイン、シスチン、タウリンはメチオニンおよび硫黄から構成されていて、システインは糖代謝に関る重要なアミノ酸で、グリシン、グルタミン酸、ナイアシンおよびクロミウムとともに糖コントロールに関っています。システインの代謝にはビタミンB6が必要となります。
N-アセチルシステイン(NAC)は硫黄性のグルタチオンを合成するために必要なアミノ酸で、強力な抗酸化物質であると同じに、体内に蓄積した水銀・鉛などの重金属の排泄を促すアミノ酸です。
システインの働き
・毛髪や爪に含まれるケラチンたんぱくの合成
・インスリン、トリプシノーゲン、パパインなどのたんぱく質を合成
・フリーラジカルの分解(メチオニンととも)
・グルタチオンの合成
・α-リポ酸の合成
・ビオチンの合成
・ヘパリンの合成
・補酵素の合成
・ラクトグロブリンの合成
・有害重金属の排泄
以下にあげる薬剤を服用中の場合にはシステインの使用には注意する必要があります。
・ACE阻害剤
ACE阻害とNAC(N-アセチルシステイン)を併用した場合、血圧の降下作用が増強される可能性がある
・狭心症薬
ニトログリセリンおよびイソソルバイドとNACを併用した場合、頭痛、低血圧を引き起こす可能性がある
注意点
システイン摂取に際して、糖尿病既往者が過剰なシステイン(1500mg/日以上)を摂取する場合にはインスリンの分泌に影響を与えるため、摂取には十分注意すること。また、尿酸値が高い場合や結石を持つ場合、システインがシスチンに変化することによって腎臓および胆嚢の結石をつくり易くなるので、システインまたはシステインが多く含まれる食材(タマネギ、ニンニクなど)や摂る場合には、その3倍量以上のビタミンCを摂取することでシステインの結晶化を防ぐ。
NAC使用上の注意点
1、NACはカンジダ、イースト菌の好物でもありますので、NACを飲む場合には、ラクトバチルスなどの乳酸菌を一緒に飲んでください。
2、飲んでいる期間中はイースト菌を使用した食材(パン、クッキーなど)をなるべく避けてください。
3、NACを飲んでいる期間はなるべく水を多めに飲んでください。
4、NACは亜鉛、マグネシウムの排泄も促しますので、必ずマルチビタミン・ミネラルなどを併せて飲んでください。
次回はインスリン抵抗性改善のR-α-リポ酸です


