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第1224回 乳がん治療薬と食材の注意点

今年は8月から例年になくセミナーや勉強会、講演会の依頼が増えています。元来教えることは好きな私ですので、今から楽しみでもあります。中にはベイエリアのホテルで企画されている、中学受験を考えている母親を対象とした。IQを揚げるために有効な栄養素と栄養の吸収のしくみなど、私自身も楽しみなテーマが目白押しです。

さて、今日は読者の方からの質問にあった、乳がん治療の化学療法で処方されている抗がん剤の服用で注意するべき栄養素との関係について紹介します。
乳がんの化学療法で比較的汎用的に使用される「タキソール」という抗がん剤があります。この抗がん剤は、乳がんが発見された後の治療の中で、リンパ節への転移を抑えるために行われる化学療法で使われる薬です。タキソールの成分はセイヨウイチイという植物の樹皮エキスから得られた成分ですが、今では自然界に生息するセイヨウイチイの生息量には限界があることと、樹皮をむいてしまうとすぐ枯れてしまうことから、天然成分と合成成分がほぼ半分の天然合成成分です。
セイヨウイチイを原料とするタキソールを服用するときの注意点は主治医が説明してくれるものですが、タキソール投与中にはアミノ酸のトリプトファンまたはトリプトファンの前駆物質の5-HTPが含まれた食材を避けるようにしたほうがいいと思います。トリプトファンと5-HTPは脳内でセロトニンに変換されるアミノ酸ですが、タキソールと一緒にこれらのアミノ酸を摂取することによって、タキソールの副作用を増強させる可能性が報告されています。
トリプトファンが多く含まれる食材は牛乳・ヨーグルト・卵・ナッツ類・マグロ・チーズ(特にスイスチーズ、チェダーチーズ)です。
次に代表的な抗がん剤シスプラチンの効果を残しつつ、腎臓の毒性などを軽減させた『カルボプラチン」という抗がん剤があります。白金製剤のこの抗がん剤には、カルシウム、マグネシウム、カリウム、およびリンの尿からの過剰排泄作用が報告されています。言うまでもなく主治医チームは点滴でこれらの電解質ミネラルを補給するはずですが、特にマグネシウムのモニターをするときの検査材料は注意したほうがいいと思います。血清中、血漿中のマグネシウムを測ってもマグネシウム欠乏状態を把握するのは難しいので、赤血球中のマグネシウムを測定してモニターしてもらったほうがいいと思います。
また、白金製剤の腎機能への影響と白血球減少の副作用を抑えるために、電解質ミネラルの点滴の中にセレニウムを入れてもらうといいでしょうね。
by nutmed | 2012-06-28 17:00