第1228回 公開回答 砂糖とカルシウム吸収

以前何回か取り上げたザクロのブログを参考にさせていただいたことへのお礼ということで、福岡にあるザクロジュースを扱っている会社(ザクロ屋さん)からいただいた、濃縮タイプのザクロエキスを使って、ザクロ歯磨きを自作してみました。
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栄養医学研究所に出入りしている容器メーカーさんにお願いしてポリカーボネート製のチューブ容器をいただいて、市販の歯磨き粉を1本分とザクロエキス1包(20ml)を入れて十分撹拌混合したのち、チューブのお尻の部分を専用のパウチマシンで熱処理止めをしました。色は純白の歯磨きクリームがザクロの深紅が混ざることで淡いベージュ色になります。実際に食後にクリームでブラッシングをしてみましたが、思ったよりも味は悪くないので、これなら毎晩使えそうです。ザクロが口腔ケアに優れている点についてはここを参考にしてください。

さて、今日は読者の方からいただいた、砂糖の摂取が骨を弱くするのではないかということについて教えて欲しいという質問に回答したいと思います。
皆さんの中にも、砂糖の過剰摂取が骨や歯を弱くするという話を聞いたことがある人が少なくないと思います。砂糖が骨に与える影響は、すなわち砂糖(精製漂された炭水化物も同様)がカルシウムに与える影響と言うことになります。砂糖や精製漂白された炭水化物は、体内のカルシウムとリンのバランスを崩し、尿からのカルシウムの排泄が向上することで、血液中のカルシウム濃度を上昇させます。上昇したカルシウムがどこからやってくるかと言えば、骨(体内のCaの99%)、歯、筋肉から引き出され尿から排泄され低くなった血液中のカルシウム濃度を一定に保持しようとするためです。このような状況を防ぐためには過剰な砂糖t精製漂白された炭水化物を摂取しないことと、リンのバランスに影響を与える、リンが大量に添加されている炭酸清涼飲料水を飲まないようにすることです。
砂糖の摂取の目安は、我々の祖先の食事内容を参考にするのがいいかと思いますが、私は食事指導の時には1日あたりの砂糖の摂取上限は5g(こさじ1杯ほど)に抑えるように勧めています。5gと聞くと結構多いかなと思われるかもしれませんが、多くの日本人が毎回の食事で食べる食材の調理(調味料を含む)で使われている砂糖や飲料水に含まれる砂糖の量を平均すると、現代人の食生活では1日あたり30gの砂糖を知らずに摂っているという報告があります。
食材やサプリメントから摂ったカルシウムが体内にどのくらいの量吸収されるかということがよく話題になります。世界中の研究者によって動物、人による検討結果がいくつか報告されていますが、カルシウムそのものの性質、田のミネラル、特にマグネシウムとリン、ナトリウムとの皇后関係、糖分や酸性食材の摂取など、様々な条件と、現代人のストレス、生活環境を総合すると、残念ながら摂ったカルシウムの100%が吸収されることはありません。いくつかの検討報告を参考にして最大でも30%、平均すると15%ほどとされています。カルシウムの吸収量に影響を与える要因としての砂糖の過剰摂取は想像以上に大きいようで、サプリメントと言えばカルシウムに代表される日本人のサプリメント事情を考えると、摂ったカルシウムを有効に使える状態にするための吸収量の改善を真っ先に考えるべきだと思います。
そのための方法をいくつか紹介します。
1、フィチン酸への注意
フィチン酸はカルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛などの必須ミネラルと結合することで吸収を阻害するので、フィチン酸が含まれた食材(大豆を含む多くの豆類、穀類)を食べる時には前処理を十分に行うこと
2、ナトリウムの過剰摂取の注意
ナトリウムの過剰摂取によって血中のナトリウム量が増えることによってカルシウムの尿からの排泄を促すので注意。ナトリウムは清涼飲料水のほか、加工食品の添加物に頻繁に使用されます。
3、最適なビタミンD量の維持
カルシウムの吸収だけでなく、骨の石灰化にも作用するビタミンDの不足のないような食生活お飛び適度な日光浴にyるビタミンDの皮下での合成を向上させること。
4、小麦グルテンに対する不耐性をつくらないように注意する
明確な原因は不明ですが、グルテン不耐性による小腸におけるカルシウムおよびビタミンDの吸収が抑制されるという報告があります。
5、リンの過剰摂取に注意
血液中のカルシウムとリンがアンバランスになることでカルシウムの排泄が促される。リンは炭酸飲料水や加工食品の添加物として広く使われています。
6、適度な運動を継続して行う
カルシウムの吸収を向上させるためには、体内でのカルシウムの需要を刺激させることも重要です。そのためには軽くてもいいので一定の時間(20-30分)の適度な運動による筋肉と骨の刺激をすること。
by nutmed | 2012-07-10 12:12