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第1229回 機能性素材 アブラナ科植物の効果

関東地方は梅雨らしい雨がないままに、海の日を迎える来週には梅雨明け宣言がでてしまう予報です。
一方では九州、四国では観測史上最高の1日あたりの降雨量を記録するなど、全国的にアンバランスな気候が続いています。

さて、アブラナ科植物が持つ機能性成分についてです。アブラナ科に属する植物には、皆さんがほぼ毎日どこかで食べている素材ばかりです。キャベツを筆頭に.カブ、大根、からし菜、カリフラワー、京菜、クレソン、ケール、小松菜、すぐき菜、タアサイ、カイワレダイコン、高菜、チンゲンサイ、菜の花、野沢菜、白菜、パクチョイ、二十日大根、ブロッコリー、ホースラデッシュ、ルコラと、これだけの野菜がアブラナ科なんですね。
これらのアブラナ科の植物に含まれるのがグルコシノレート(Glucosinolates)と呼ばれる配糖体で、アブラナ科植物の葉、茎、根、および種子に広く存在している物質です。グルコシノレートには強い抗がん作用があることが世界中の研究機関から報告されています。グルコシノレートの抗がん作用には、がん細胞の成長を抑制する作用のほか、肝臓の解毒作用を促進強化することで発がん性物質の解毒促進作用があることが報告されています。抗がん作用ということでは、同じアブラナ科のブロッコリー、キャベツ、芽キャベツが以前から注目されていますが、その作用は、グルコシノレートが同じくアブラナ科植物が持つ酵素(ミロシナーゼ)によって分解されたインドールやイソチオシアネートと呼ばれる物質によるものが報告されています。日本でも一時期、カイワレ大根やブロッコリが乳がんや前立腺がんの予防食として話題になったことがありますが、もとをたどるとこのグルコシノレートになるわけです。グルコシノレートの含有量で言えば、アブラナ科野菜の中でもホースラディッシュに含まれているグルコシノレートの量はブロッコリー、キャベツ、芽キャベツの10倍以上と言う報告があります。
現在までに報告されているグルコシノレートの抗ガン作用については、動物、人による検討を含め多数報告されていますが、対象となっている臓器組織は、肺がん、大腸がん、乳がん、前立腺がんで、特に乳がんでは、女性ホルモンのエストロゲンが関与するがん細胞の抑制作用が注目されています。
グルコシノレートには抗ガン作用のほかにも鼻の通りを浴する作用があり、ホースラディッシュの根をすりおろしたもは、欧米では古くからハーブ療法でも使用されていて、特に鼻炎(アレルギー性)、鼻詰まりの症状の改善には非常に有効で、私の親友でコネチカットで開業する栄養療法のドクターもヘイフィーバー(Hey fever:日本で言う花粉症)の鼻炎にはホースラディッシュの瓶詰を購入させて、それを小さじに半分取り、早朝と昼の食事前に水で薄めずにそのまま飲ませ、飲んだ後は少なくとも10分間は食事をしないように指示しています。私も鼻炎がひどくなると今でもホースラディッシュをこのようにして飲んでいますが、涙がでることがすくなくないですが非常に効果はあり、5分もすると鼻の通りが良くなり1日中爽快な気分を保ってくれます。
また、ホースラディッシュには強い抗菌作用があり、尿路感染症や細菌による気管支炎には有効です。明確な報告はありませんが、ホースラディッシュに含まれる強い抗菌物質と酵素が腎臓、膀胱を経て体外に排泄される経路の中で、尿路感染の原因菌の殺菌をすることと、この酵素の働きで利尿作用が強まり、腎臓・膀胱で炎症物質が強制的に排泄促進されるのではないかと考えられています。 事実、ドイツ(The German Commision E:日本の厚生労働省に相当)ではホースラディッシュを尿路感染症の治療処方薬として承認しているほどです。
日本のワサビにも同様な作用があることが国内の大学や研究機関から報告されているので、日本のワサビにも鼻炎の改善や尿路感染症改善効果があるのではないでしょうか。

ただ、グルコシノレートの摂取については注意をすることもあります。グルコシノレートが酵素変化によって作られる物質にゴイトリン(goitrin)という物質があります。ゴイトリンは甲状腺でヨウ素の取り込みを阻害するので,甲状腺ホルモンの合成が抑制されます.したがって,グルコシノレートが含まれる大量のアブラナ科野菜を継続して食べることで甲状腺ホルモン量が低下するので、潜在的に甲状腺ホルモン低下の背景がある方はアブラナ科野菜の食べすぎには注意してください。
逆に、最近体重が急に増えた、動悸がするようになった、エネルギー不足を感じる、体温調節がうまくできない、憂鬱などのような症状が気になる方は、食生活でアブラナ科の食材を食べ過ぎていないかを確認してみることも症状の原因を探るきっかけになると思いますよ。
by nutmed | 2012-07-12 14:43