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第1232回 脳の脂質の酸化の影響

私事ですが、22日から1週間、臨床ミネラル学会とセミナー出席のため、ドイツとイタリアに出張します。来週はこの2つの国からのブログ投稿になると思います。

さて、今日はアルツハイマー症繋がりで、脳の働きに影響を与える原因の1つでもある、脳細胞の脂質の酸化についてです。
脂質はフリーラジカルが最も好む恰好のターゲットであることはご存じだと思います。
脳は人間の体内で肝臓に続いて最も脂質(脂肪酸)が多く集中している細胞組織と言えます。その一方で肝臓や他の細胞組織のように、抗酸化システムが手薄で脆弱な細胞組織でもあります。
これが脳の働きに多大な影響を与える原因の1つである、脳細胞の脂質の酸化(または過酸化)の背景です。脳の周囲には脳膜(硬膜・クモ膜・軟膜)がありこの膜が脳細胞を保護していますが、この脳膜の構成成分には多くの脂質(リン脂質)が含まれています。

脳がフリーラジカルの攻撃を受ける最初の最前線がこの脳膜になります。たった1つのフリーラジカルが脳細胞から連鎖的に電子を奪い取る間に、正常な脳細胞が8-10個も破壊されという研究報告もあります。パーキンソン病、アルツハイマーなど脳細胞が退化したり形が変化してしまうことによって発症する脳の病気の多くは、この脂質の酸化によって引き起こされます。
たとえば、パーキンソン病の場合、最初に現れる現象は、脳内のドーパミン生産にかかわる細胞の約70%が死滅してしまうことが報告されていますが、この原因にリン脂質がフリーラジカルの攻撃を受け続ける結果であると推測されています。逆にいえばパーキンソン病の症状が現れるまで脳細胞が攻撃を受け続けますが、70%もの細胞が死滅するまで精密検査をしなければ見逃してしまうともいえます。
多くぼ場合、脳膜のリン脂質をはじめ脳細胞の脂質が攻撃を受けるフリーラジカルの基になるのは、化学物質でしょう。トルエン、ガソリン、アセトン、アルコールなど、皆さんの日常生活環境内に深く浸透している物質ばかりです。

日本は欧米に比べてフリーラジカルによる細胞組織の酸化に対する国民の関心は高いほうだと思います。事の良し悪しは別としてマスコミ、メディアが散々「細胞がサビる酸化・・」をPRしてくれたおかげだと思います。残念なことはその関心の中心が「若返り」や「老化抑制」に向いていることですね。決して悪いことではありませんが、介護の問題など、ますます高齢化する日本社会を考えると、細胞、特に脳細胞の酸化についてもう少し地に足のついた関心を持ってもらいたいと感じます。
by nutmed | 2012-07-19 13:14