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第1235回 体内水分のバランスとWater Loading

日曜日にイタリアから帰国し、昨日月曜日から仕事に復帰しましたが、肌を刺すような暑さと、まとわりつくような湿気に怖気づいています(笑) 連日深夜から早朝にかけてのロンドンオリンピックの観戦で、睡眠不足、食欲不振、体力低下による体内環境の激変が知らず知らずのうちに進んでいる方が多いこの夏だと思いますが、今日のテーマは、水分の摂取バランスについてです。
連日のように熱中症、日射病の予防対策としての積極的に水分補給する必要性がメディアでも叫ばれているところですから、すでに多くの皆さんは水分補給を意識していることと思います。 海の向こうアメリカでは猛暑の夏になるとメディアと連邦政府が盛んに「Drink Water for your life」と、水分補給を意識させる啓蒙を行っていましたが、最近では「Water Loading」=積極的に水分を摂取する、ことを啓蒙しています。
人間の体は水でつくられている、などと表現されることがあるように、人間を構成する物質の中で水は最大量の物質です。その量は年齢、性別、骨密度、筋肉量及び体重によって個人差はありますが、多少幅はあるものの、全体重の50%~75%を構成すると言われており、体脂肪率が低い若い男性ほど体重に占める水分量は多い傾向にあると言われています。
ここで、その水が体内の何を構成しているのかについて少し紹介しておきます。
以下のグラフは、平均的な体脂肪率を持つ成人男女の体内に存在する構成水分量を示したものです。
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間質液とは、文字通り細胞と細胞の隙間を埋めている液体で、細胞の緩衝液として働くほか、細胞内への栄養、酸素の供給、老廃物、異物を細胞外へ運搬する役割を担っています。細胞通過液は、消化管内の液体、関節を支える関節液、眼球内の液体などです。人は基本的には体内に必要な水を蓄積することができませんので、上記のグラフを構成する体液の機能だけでなく生命を維持するために、常に水分の補充を継続しなければなりません。一般的には体内の総水分量の1-2%が低下すると、脳、消化管のホルモンの作用及び腎臓の刺激によって喉の渇きという現象を起こすことになります。体内の総水分量の1-2%と言うと、仮に体重45kgの女性の場合では、総水分量が60%(27リットル)と考えると、わすか300-500ccの水分になり、70kgの男性の場合では、総水分量が70%(49リットル)と考えると、500-1000ccの水分が低下することで、体は水分の補充の必要性を感じて喉の渇きを促します。
下のグラフは、70kgの成人男性の1日あたりの平均的な水分摂取量と水分排泄量を表したものです。
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このグラフを診てもらうとわるように、1日あたりの水分の出納量はほぼ同量と言えます。尿から排泄される水分量は1000-1500cc、汗や呼気から排泄される水分量は500-700cc、便とともに排泄される水分量は100-200ccですが、最近のような猛暑の日では、発汗による水分排泄量は予想以上に増加することと、意外に盲点なのは、水分の蓄積ができないために、補充した分の水分量だけ排泄も促進されるということです。したがって、水分補充量が増加し、それに伴い水分排泄量も増えるため、ナトリウムやカリウム等の電解質の排泄も通常よりも積極的に増えることになります。 熱射病、日射病の症状のほとんどが、この水分のバランスが著しくかつ急激に崩れるために起こり、頭痛、吐き気、体温上昇、動悸、異常発汗、めまいなどの症状が現れることになります。 高齢者の場合には、体内の総水分量の1-2%が低下して喉の渇きの刺激が起きる速度は、年齢が若い人に比べて鈍化するため、1日中屋内にいて安静にしていても、排尿や呼吸によって自然に失われる水分の排泄に加えて、暑さからくる発汗増加によって、意外にも熱射病の症状が現れるまでの時間は早いとも言えます。 
水分の補給のお勧めの方法を以下に紹介しますので是非お試しください。
1、補給する水は吸収を考慮して冷たい水ではなく、25℃前後の水が望ましい
2、起床後に体重×70%×1%量の水をゆっくり飲む
3、通常の生活リズムの場合には、1日を通じて1時間に100-150cdの水を飲む
4、ジムなどで運動する場合には、運動の1時間前に体重×70%×1%量の水+電解質を補給し、運動開始後30分おきに100cc-150ccの水を補給する
5、屋外での2時間以上の運動を行う場合、運動の1時間前に体重×70%×1%量の水+電解質を補給し、運動開始後15分おきに100cc-150ccの水+糖分を補給する。精製漂白された糖分は空腹感を促進させるので、糖分としてはマルトデキストリンのような多糖類がお勧め。
注意点
猛暑の屋外での労働や運動に際しては、過剰なたんぱく質の摂取が血中の尿素合成を促進し、水分の排泄を促進させるため。事前にプロテインの摂取は避けるべきです。したがって、サッカー少年、野球少年のお弁当のおかずの内容も過剰なたんぱく質は水分の排泄を促進する可能性があるので注意してあげるといいと思います。

by nutmed | 2012-07-31 15:08