第1238回 見え始めた遺伝子組換え作物の影響 その2

今日は本題に入る前に、GMO作物の最大生産国であるアメリカの現状を数字で確認してみましょう。
先日、アメリカワシントン州の農務局の研究所に席を置いている友人から、最近のアメリカのGMO(遺伝子組換え)食品の状況について確認をしてみたところ、驚くと同時に、やはりこうなんだという気持ちになりました。
彼の話では、NASS(アメリカ農業統計局:The National Agricultural Statistics Service)が報告している2011年会計年度における主要作物の遺伝子組換え率は以下のようになっています。
トウモロコシ:88%
綿:90%
大豆:94%

この数値を見て私が思ったのは、私を含め多くの日本人が、日本人の食生活で使われている大豆は100%遺伝子組換えをしていない大豆であると信じているだろうけれど、アメリカの大豆の生産量の実に94%がすでに遺伝子組換え種子から育った大豆であることを考えると、法的に守られているはずの遺伝子組換え大豆の輸入はされていないということは厳守されているのだろうかということです。
日本の農水省の「作物統計」を見ると、日本国内の大豆消費量は年間約450万トンですが、国産大豆で賄われている量は約23万トンで、わすか5%です。95%は輸入によって賄われており、このうちアメリカからの輸入量は約310万トンで70%近くがアメリカ産の大豆に支えられています。確かにアメリカの年間大豆生産量を見ると8700万トン(2011年度)というけた外れの数字になりますので、日本が輸入している量はそのうちのわずか3%と言えば少ないと感じるかもしれません、しかし、一方で全大豆生産量の94%(8178万トン)が遺伝子組換え大豆だということを考えると、日本が輸入している3%という数字も決して少ないとは言えませんね。
現在アメリカで遺伝子組換え種子によって育てられ収穫されている作物は以下の種類になります。
トウモロコシ
大豆
キャノーラ

パインアップル
サトウキビ
ビート
綿

GMO遺伝子組換え食物の危険は、昨日紹介したような、遺伝子の組換えによってレクチンの生産能力を向上させた品種による体内環境への影響と、これから紹介する、非常に強力な除草剤ラウンドアップに耐性を持った品種を遺伝子組換えによって作り出し、結果としてラウンドアップに含まれるグリホサートが付着した作物を食べることによる体内環境への影響があります。
2012年2月27日に発表されたISIS(Institute of Science Society)の報告はラットを使った動物実験結果ですが、徐除草剤のRoundUpの主要成分であるグリホサート(glyphosate)によって雄のラットの睾丸細胞が僅かな量のグリホサートによってダメージを受け、軽度でも男性ホルモンの生産能力と生産量が低下し、生殖能力も低下すること、また継続的なグリホサートの影響によって睾丸細胞のDNAが損傷するなど、極めて多大な影響をもたらすことが報告されました。この報告によれば、極めて微量のグリホサートでも、ラットの睾丸細胞へのダメージは大きく、テストステロン(男性ホルモン)の生産能力に多大な影響があったということで、これが人間の男性にも同じことが言えるのかどうかということですが、私は個人的に人間の男性にも同じような影響はある、ひょっとするとすでに出ているのではないかと思っています。
今から7年前の2005年には、人の女性の胎盤細胞に対するラウンドアップ中のグリホサートの影響についての検討が報告されていますが、この報告の中では、通常の農家が散布使用しているラウンドアップよりも100倍も希釈した濃度のグリホサートを使用して実験を行っています。結果的には女性ホルモンのエストロゲンの生産とホルモンの変換酵素であるアロマターゼの働きに多大な影響を与えることがわかり、女性の妊娠および妊娠継続に対して何らかの影響になる可能性が大きいと報告しています。
ラウンドアップに含まれるグリホサートに関する2つの報告をみるだけでも、男女の性ホルモンに与える影響は極めて大きく、近年、TGP(Trying to Get Pregnant:不妊状態)が以前に比べ増加している背景にも少なからず関係しているのではないかと考えざるをえません。
by nutmed | 2012-08-09 19:34