第1247回 今だから注目すべきミネラル「ケイ素」 その1

先月知人からいただいた、ニュージーランド産のビーツ(Red Beet)の1つを、玄関のプランターのスペースに植えてみたところ、約1カ月でこんなに大きくなりました。
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葉脈にまであふれだしているこの赤い色素は、ベタシアニン(Betacyanin)と呼ばれる非常に強力な抗酸化作用をもったポリフェノールで、最近では抗がん作用も報告されています。臭気の凝集作用もあることから、ニンニク、ネギ、ニラ、タマネギなどの臭気野菜と食べ合わせることで口臭を緩和してくれる作用もあります。

さて、今日から数回に分けて、今だから注目して欲しいミネラルのケイ素について紹介をしたいと思います。
実は、私もこの66月のブログで募集したケイ素配合のミネラルウォーターのモニターの結果がでるまでは、ケイ素が体内環境に及ぼす影響と不足の症状がこれほどダイレクトに出てくるとは想像していなかったので、この1カ月間、改めて世界中のケイ素に関する研究論文をリサーチしてみました。すると、ケイ素が人間の営みにどれだけ影響は想像以上に大きく、様々な働きを持ち、他のミネラル、ビタミン、アミノ酸の働きにも関わる、重要なミネラルであることがわかってきました。
ケイ素は地球上に最も多く存在するミネラルの1つです。カルシウムの吸収を促進する働き、ビタミンDの働きを促進するほか、グルコサミンの合成を促進する作用が確認されており、骨と歯を作り丈夫にする働きがあるほか、軟骨組織や皮膚のコラーゲンの生成には必要なミネラルです。地球上では炭素の次に多く存在するミネラルですから、野菜や肉など多くの食材に含まれています。一方で人間は、ケイ素は酸素と結合したケイ酸の形でなければケイ素を吸収できません。ケイ素がカルシウム、グルコサミン、ビタミンD、そしてコラーゲンの働きに関わる重要なミネラルであることを考えると、男女、そして年齢を問わず必要な必須ミネラルであるとともに、健康な体内環境と生活の質を向上させるためには、毎日意識して摂るべきミネラルであると言えるでしょう。日本人の多くが子供のころから過剰と持言えるほどに意識させられてきたカルシウムでさえ、骨をつくる際にはケイ素が必要になります。ケイ素が豊富に含まれる食材としては、すぎな(つくし)、小麦、オーツ麦、玄米、レーズン、筍、レバー、アルファルファ、ニンジンなどです。私がアメリカで研修していた時に、爪が割れやすい、髪の毛のコシガなくなった、胃潰瘍の再発防止などの目的でクライアントに使ってもらったサプリメントはhorse tail(ツクシ)のハーブでした。 一方で、ここ30年ほどの日本人の食生活の変化を振り返ってみると、上記のようなケイ素が含まれた食材の摂取量は圧倒的に少なくなっていることに疑いの余地はありません。更に、ケイ素が多く含まれている胚芽の部分を精製した食材には、もはや期待するほどのケイ素は含まれていないわけです。
いくつかの論文を見ているうちに、アトピー性皮膚炎の患者の増加と、食生活の変化の背景には、ケイ素を枢軸とした関係があるのではないかと思い始めています。私のブログでも以前からアレルギー、特にアトピー性皮膚炎や蕁麻疹、乾癬など、皮膚の症状が現れる背景には、小麦にしても米にしてもケイ素が豊富に含まれる胚芽の部分を削ぎ落してしまった残りを食べていることが原因として働いているのではないかと考えています。
この後ケイ素の働きの詳細を紹介していきますが、ケイ素の体内での働きの1つでもあるコラーゲンの合成と、胃および暢壁細胞をつくる働きがあります。コラーゲンは、体を構成するたんぱく質の実に30%を占めていて、皮膚、靱帯、腱、骨、軟骨、大動脈、気管、髪および爪の結合組織を形作っています。アトピー性皮膚炎や蕁麻疹など皮膚に現れる症状の原因は皮膚の炎症であることを考えると、自らの力で皮膚の炎症を抑えることと同時に、皮膚の細胞のダメージを回復させるためのコラーゲンを作る能力が高いか低いかに深く関わっていると考えるわけです。折角コラーゲンを作る能力はあっても、コラーゲンを合成するための素材である、ケイ素、鉄、ビタミンA、ビタミンC、アミノ酸(リジン、プロリン、グリシン)が十分に供給される食生活でなければ、皮膚の正常な新陳代謝は行われず、症状は悪化をたどることになるでしょう。胃と腸の壁膜の細胞にもケイ素とコラーゲンは直接的に関わっていることを考えると、栄養素の吸収には最も重要な臓器である腸を作るために不可欠なケイ素、鉄、ビタミンA、ビタミンC、アミノ酸が十分に吸収できないことにもなり、コラーゲンの合成にも影響が出るわけです。

多分日本の外科医でも同じことをしているドクターが少なくないと思いますが、アメリカでは手術の術後に、傷の回復を向上させるための PSRN(post-surgical recovery nutrition)と呼ばれるビタミンミネラル、アミノ酸の積極的な補充を点滴だけでなく、退院後にサプリメントで行うことが珍しくありませんが、このPSRNの素材の中で使うケイ素の量と優先順位は高いことを考えると、ダメージを受けた細胞組織の回復のためには、ケイ素は有効なミネラルであると言えるでしょう。
by nutmed | 2012-08-30 16:11