第1251回 食育に思うこと その3

昨晩の関東北部の雷雨はすごかったようですが、今朝のニュースを見ると、水不足解消には至らないとのことでした。まだまだ、秋めいてこない猛暑の続く日本ですが、今後暫くは節水対策にも配慮が必要ですね。

さて、今日は食育についての最終回です。この2日ほど、ブログ読者やfacebookのフレンドから何通かのメールをいただきました。私が掲載した食育に関するモラルと哲学については頷けるところが多い反面、良くも悪くも子育て、特に食生活に深く関与せざるを得ない女性目線で考えると、頭の中では哲学やモラルの意味するところは理解できても、日常的な煩雑さやストレスに追われてしまい、実践できていないことが多く、メディアやママ友との会話の中で「食の安全」や「食育」というキーワードが出て、ハッと気付くことが少なくない。という内容のメールがほとんどでした。
私が思う食の哲学とモラルの実践継承は、何か特別に構えて行うべきものではないと考えています。いわゆる耳学問として色々な情報で武装することは悪いことではないでしょうが、その情報に揺らぎ、今日は右、明日は左とぶれるようなことのないようにすることが大切で、そのためには有り余るほどの情報を「知識」としていくことと、それを経験として蓄積していくことが何よりも大切なことだと思います。

今日は食育についての最終回になります。
1、食育と食態系(フードサークル)
食態系(フードサークル)という言葉は私の造語ですが、これが何を意味するかは以下の図をみていただけると理解いただけるでしょう。
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本来「食材」はこの図のように不変で終わることのないフードサークルを循環し続けるべきものです。日本という風土に、季節や気候という自然の摂理に従って、多くの動植物は年に1回の繁殖、そして収穫の時期を迎え、すべての生きるものたちが互いにその恩恵を受ける、自然の摂理に適った食態系とも言えます。これは世界共通であり、日本は世界的に見ても類を見ないバランスのとれたフードサークルを築いてきました。しかし、ある時期を機にいわゆる食文化の変貌が加速し、その後人間の都合とエゴがさらなる加速を与え、フードサークルに決定的なクサビが打ち込まれ、自然の摂理に反した循環することのない以下の図のようなフードサークルに変わってしまったと言えます。

私は現代のフードサークルをかつての状態に100%戻すことは残念ながら不可能に近いものだと考えています。もちろん打ち込まれたクサビを1本でも排除する努力は必要です。中には「オーガニック素材=安全」という考え方の下、毎月何万円も投じてオーガニック野菜を購入する方がいます。これはこれで結構なことだと思いますが、「オーガニック素材=安全」という方程式は成り立たないというのが私の持論です。オーガニック野菜を作る畑もNonオーガニック野菜をつくる畑も、空から降ってくる雨は同じもの、また地下を流れている水も同じものであり、日本の場合アメリカのようにオーガニック野菜を作る畑のすぐ横の道路を走る車の台数が制限されるような厳格なものではないからです。
欧米で年々オーガニック野菜の需要が伸びている背景には日本のように「オーガニック=安全」という構図があるのではなく、オーガニック農法で作られた野菜の中には、Nonオーガニック農法で作られた野菜よりもビタミン・ミネラルをはじめとする栄養素が格段に豊富に含まれているからです。しかし、高額を投じてオーガニック素材を得ること以上に、人間が本来持っている「リスクを排除しようとする能力」、すなわち体内環境に悪影響を与える物質を体外に排泄する能力をはじめとする自然治癒力に磨きをかけることが大切であると確信しています。
皆さんの体の肝臓と皮膚という臓器・器官の働きを考えてみてください。この2つの臓器・器官が担っている最大の働きは「体内の浄化」、つまり体の細胞臓器にとって障害となる物質を体外に排泄したり中和して無害化させることにあります。この肝臓と皮膚の「浄化」という適応能力を十二分に生かすことができれば、バクテリアやカビによって腐敗してしまう食材の防腐剤として添加される物質を自らの力で無害化または排泄をすることができ、60兆個の細胞が必要とする栄養素をその食材から得ることができることになります。
しかし、この2つの臓器・器官に多大な負担がかかると、浄化機能が低下し、血液検査の数値が異常になる前に体の内外に何らかの異常を知らせるシグナルが自覚症状として発せられます。それはニキビのようなものであったり、湿しんであることや肌のかゆみ、皮膚が黄色くなることであることもあれば、頭痛やしびれであることもあります。このシグナルに対して反応できなくなり、無関心になることがいわゆる生活習慣病の原因であるとも言えます。
人間が営んできた長い歴史の中で、人間はその時々の環境に順応する適応能力を持って対応してきました。その能力に磨きをかけてきたのは、祖父母、両親、地域の先達から継承されてきたでこの適応能力、もっと言えば、人間を形造っている細胞とその集合体である臓器、そしてホルモンや酵素の担うべき働きが十分に生かし切れていないことが、「不健康な正常人」「元気な病人」を作り、食の哲学とモラルの伝承を怠ることでその予備軍としての子供たちを作り続けることになると考えます。
by nutmed | 2012-09-05 09:20