第1255回 セロトニンについて その1

これからの季節、特に今年のような猛暑が続き、副腎に相当ダメージを与えたような季節のあとに多い、情緒不安、うつ様症状、不眠などメンタル症状の背景に深く関与している神経伝達物質のセロトニンについて、数回にわたって紹介します。
皆さんは「セロトニン」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? セロトニンは脳内神経ホルモンの1つでもありますが、人がリラックスしたり、緊張したり、睡眠、不安、恐怖感、気分の落ち込み、食欲、特に炭水化物(砂糖など)の過食にかかわるホルモンでもあります。このセロトニンが適切に生産され、体内環境、時間、ストレスの有無などの環境要因によって正しく働かない場合や、不足した場合には上記のような症状につながることになります。
近年の研究で、セロトニンは加齢とともに少なくなってくることがわかってきました。この背景があるために、中高齢者のうつ病、不眠症、肥満などが増えているのではないかと注目されています。 もっとも、セロトニンはこの数十年の間に人間の体内で作られるようになったホルモンではなく、人が誕生したときからあったホルモンですから、これらの症状がすべてセロトニンに影響しているとは考えにくいと言う考え方がありますね。しかし、このセロトニンは食事の内容、つまり食材によってその量が過剰にもなり不足することもあることは間違いのないことで、どうやらこの数十年間の食事環境に大きく影響を受けている可能性は大きいと思います。
その1つを紹介すると、セロトニンはアミノ酸の1つである「トリプトファン」がなければつくることができないホルモンです。トリプトファンは人が作ることができず、食材から摂取する必須アミノ酸の1つで、多種の素材に含まれています。
トリプトファンが比較的多く含まれる素材(量が多い順番)
すじこ
ひまわりの種
たらこ
肉類
プロセスチーズ
納豆
アーモンド
そば
玄米
豆乳
ヨーグルト
バナナ

これらの素材以外にもトリプトファンは含まれている必須アミノ酸ですが、結論から言えばセロトニンのタネとなるこのトリプトファンが不足していることが、セロトニン不足を招く最大のシナリオになるということです。
かつてアメリカのFDA(米国食品医薬品局)が、トリプトファンをサプリメントや食品添加物としての使用を一切禁止していた時期があります。この背景には日本の昭和電工という会社が製造し輸出していたトリプトファンが原因になった「事件」でしたが、FDAは2009年、禁止していたトリプトファンの使用を認めることになりました。その後の調査報告書を見ると、想像の域を超えませんがどうやらアメリカの医薬品メーカーの圧力があり昭和電工には何も落ち度はないのにやり玉に挙げられたことが真相のようです。この話はネットで調べてみてください。
さて、それが原因かどうかは正確にはわかりませんが、アメリカの栄養学者の中には、FDAがトリプトファンの使用を禁止した時期には圧倒的にうつ病、肥満が増大していると報告しています。
by nutmed | 2012-09-11 14:06