第1261回 ケルセチンの機能

今日は、テーマとして扱う内容が決まっていたのですが、先ほどからケルセチンについて電話とメールでの問い合わせが殺到していて、何でだろうと思ったら、今朝の「はなまるマーケット」でケルセチンの特集があったとのことです。ケルセチンは私のブログでも扱ってきたテーマとしてはTOP3に入るほど、力説してきた非常に機能性の高い素材ですし、栄養医学研究所でも非常に質の良いケルセチンのサプリメントを扱いはじめて10年になりますので、どんな方法であれ、国民に認知されることは嬉しい話ではあります。
そこで、相乗りというわけではないですが、ケルセチンについて今日は再び紹介したいと思います。

ケルセチンはフラボノイド類の中でもエビデンスの数も、機能も医薬品と遜色のない機能性素材です。
アメリカで2003年から継続されてきているケルセチンと糖尿病の治療に関するロングランな研究の最終段階の報告が、2009年1月に報告されていたのでそれを少し紹介しましょう。
この研究はアメリカの厚生労働省にあたるNIH(National Institutes of Health、国立衛生研究所)で2003年にスタートした研究で、肥満傾向にある血糖値が高い、いわゆる2型糖尿病の予備軍と判定された19歳から65歳までの32人の男女のインスリンに対する抵抗性が、ケルセチンによって抑制される可能性の確認研究です。
1日あたり1500-1700カロリーの制限食と1日20分間の軽いウォーキングに加えて、1日あたり2グラム(2,000mg)のケルセチンを服用した場合とそうでない場合を、3か月ごとに同じ人間で繰り返し検討を行った結果では、明らかにケルセチンを服用した場合のほうが血糖値の下がる反応は良く、つまりインスリンが十分に機能していると考えられる結果が現状までに出ています。
カナダのトロント大学のケルセチンに関する症例報告の中に、このNIHの研究に似た症例報告があります。
ぜんそくの治療で来院した26歳の男性の場合、体重が105kg、身長170cmで明らかな肥満に加え、空腹時血糖値が157ありましたが、ぜんそく症状を改善する目的で1日あたり1500mgのケルセチンを4ヶ月間摂取した結果、ぜんそくの症状が軽減したと同時に、空腹時血糖値が97まで安定するようになっていました。

ケルセチンがインスリンの抵抗性を抑制する詳細なメカニズムはNIHの今後の研究報告に期待するところですが、研究チームでは、小腸におけるグルコーストランスポーター(GLUT:glucose transporter)の働きに何らかのかかわりがあるのではないかとしています。

ケルセチンはアレルギー症状、気管支炎などの炎症をともなう症状の緩和に働く抗炎症作用は医薬品の抗炎症剤に匹敵する作用を持っていることは200以上の研究報告が世界中で報告されていますし、実際の臨床現場でも抗炎症剤の代わりに処方されたり、同時に使用されることも決して珍しいことではなくなってきました。
ケルセチンは日本ではまだ汎用性の低い機能性成分ではありますが、副作用が非常に少なく、的確に炎症や痛みを抑える作用をもった数少ない成分であると考えます。
アメリカでは医薬品メーカーもケルセチンの薬理作用には非常に高い関心をもっており、政府にプレッシャーをかけてケルセチンを「医薬品カテゴリー」に入れようとする動きも見え始めているのが非常に気がかりではあります。
by nutmed | 2012-09-20 10:36