第1259回 グルテン不耐性と自閉症様症状

今日は先日の栄養カウンセリングで担当した、自閉症と診断されてきたクライアントさんのケースについて紹介したいと思います。
私が今までに担当ケアしてきた自閉症のクライアントさんに比べ、年齢は少し高いこの男性は、医療機関でいわゆる自閉症と診断され、特別な治療や投薬をすることなく、家庭内療育で経過してきた男性でした。ご家族、とくにお母さんは彼の症状が少しでも改善することができればと、積極的に彼のケアに努めてこられています。そんな中、偶然私のブログに巡り合い、多動症や自閉症の背景に、小麦や乳製品などのたんぱく質が深くかかわっていることもあることを知りました。2012年9月から試にグルテンを含んだ小麦食品や小麦粉が使われている加工食品を思い切って除去してみたところ、今まで精神的な安定状態の期間と不安定な期間が交互にやってきていた中で、小麦除去をした後の不安定な期間が以前よりも短くなっていることに気が付いたそうです。お母さんは彼の症状の背景には小麦とのかかわりがある可能性を考え、もう少し積極的な食事と栄養のアドバイスを聞くために、青山外苑前クリニックの私の栄養カウンセリングを予約をして、昨年末に初めてお母さんと彼に会いカウンセリングを行いました。
私が最初に彼と会った時の印象は、過去に私が対応してきた、自閉症のクライアントとは多少異なる印象を受けました。いわゆる自閉症特特有の落ち着きのなさ、不安症状、おうむ返しなどは強くなく、発語は難しい状態ではありましたが、言っていることを理解している様子が見えます。小麦に対しての反応がある可能性が強かったため、主治医にお願いをしてIgG抗体による食物不耐性確認の検査と、水銀の蓄積および必須ミネラルの代謝状態を確認するために爪検査を行うように勧めました。
新年を迎えた先日、検査結果を聞きにお母さんが青山にカウンセリングにいらっしゃいました。IgG抗体検査の結果は予想通りで、小麦(グルテン)とオーツ麦に対して非常に強い反応を示していました。加えて、グルテンと双璧をなし、腸内環境と脳内の神経機能に影響を及ぼす乳タンパクのカゼインにも非常に強い反応があります。爪分析の結果は、水銀をはじめとする重金属の蓄積はなく一安心でしたが、グルテンをはじめとする食物不耐性の影響からと思われる、腸での吸収の働きに見られる影響からか、亜鉛、モリブデン、クロミウムが低下している結果です。1回目のカウンセリングから今回のカウンセリングまでの間の彼の症状の変化をお母さんに確認すると、内容を聞く限りではほぼ完全な小麦除去の食生活を継続しており、想像していたよりも彼もそれを素直に受けれてくれていることに加え、以前にも増して安定期間が長くなり、自傷行為も圧倒的に少なくなったこと、何よりもお母さんが喜んでいたのは、彼が今までにないくらいの穏やかな笑顔をともなう表情をすこしだけれど見せ始めてくれたことだそうです。今のところ、小麦除去食による彼のストレスが増しているような様子はみえないことともあるため、食事のアドバイスとしては、今後もしばらく小麦除去の食生活を継続していただくとともに、カゼインをそれに加えていただくことをお願いしました。吸収が低下している可能性のあるミネラルについては、吸収と飲みやすさを考慮して液体のサプリメントをしばらく継続していただくことにしました。
彼のようなケースではなくても、落ち着きがなかったり、注意力散漫、集中力欠如など、精神的神経の働きにかかわるような症状や素行があるお子さんの場合、落ち着いて一度食生活の中の食材の確認をしてみてあげると、その原因背景のヒントがみつかもしれません。特に、分解が容易でない小麦グルテンや乳カゼインについては、しばらく除去してみて、その前後で症状や素行に何か変化がないかをつぶさに観察してあげてみてください。
by nutmed | 2013-01-26 08:58