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第1275回 アトピー性皮膚炎の改善のための脂肪酸

従来からアトピー性皮膚炎の患者では、必須脂肪酸(EFA)とプロスタグランジンの代謝に変調を来たしていることが多いことが報告されています。実際、い くつかの臨床研究では、アトピー性皮膚炎患者の血漿、赤血球、白血球中の脂肪酸量の変化が見られます。これらの患者の多くでは、オメガ-6系脂肪酸のγ- リノレン酸(長鎖多過不飽和脂肪酸)、アラキドン酸、長鎖オメガ-3脂肪酸、EPA、DHAが不足減少傾向にあり、逆にリノール酸は過剰傾向にあります。
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(図が見難い場合は図をクリックすると拡大します)
ア トピー性皮膚炎の患者は、γ-リノレン酸の摂取量が少ない、または何らかの原因でデルタ6脱飽和酵素の活性が低下していると考えられますが、デルタ6脱飽 和酵素が正常に働くためには、亜鉛だけでなく、ビタミンB6とマグネシウムが必要になります。これらが不足しているためにこの脱飽和酵素が低下しているの であれば、これらをサプリメントなどで補えば症状の多くは改善します。一方、直接γ-リノレン酸が不足している場合に、月見草オイル(EPO)、ボラージ オイル、黒スグリオイルの摂取が効果的なケースは少なくありません。EPOについて言えば、1日あたり3,000mgのEPO(γ-リノレン酸量として約 270mgに相当)摂取によってアトピー性皮膚炎の症状改善効果が現われています。
しかし、私が今までに扱った150例ほどのアトピー性皮膚炎患 者の栄養カウンセリングとDr.ライト(私の師匠でタホマクリニック院長)が過去に扱った数千のケースの実情は異なっていて、EPOよりもオメガ-3(フ ラックスまたはタラの肝油)を1日あたり3,000-5,000mg摂取させたほうが、よりアトピー性皮膚炎の症状改善効果が高いケースが多い事実もあり ます。実際、米国でアトピー性皮膚炎に対するEPOの効果は期待する以上に低いという報告があります(Bjorneboe A, Soyland E, Bjorneboe GE et al. Effect of dietary supplementation of eicosapentaenoic acid in the treatment of atopic dermatitis. Br J Dermatol 1987;117:463-469)
オメガ-3(フラックスまたはタラの肝油)は、アトピー性皮膚炎の患者の中でも特にプロス タグランジンの代謝異常、デルタ6およびデルタ5脱飽和酵素生産不良(このほとんどが亜鉛、ビタミンC、ナイアシン、ビタミンB6、マグネシウムの摂取不 足)の患者には効果的で、日本人のアトピー性皮膚炎には最も多いケースがこれです。
最近の研究によると、アトピー性皮膚炎の脂肪酸のパターンを調 べたところ、血漿中およびリン脂質に含まれるオレイン酸とリノレン酸量を比較するとリノレン酸のほうがオレイン酸よりも圧倒的に多く、このパターンは健常 人では見られないパターンであることがわかりました。加えて、アトピー性皮膚炎患者の多くでオメガ-3とオメガ-6の比が非常に低いということです。この文献(Sakai K, Okuyama H, Shimazaki H et ai. Fatty acid compositions of plasma lipids in atopic dermatitis/asthma patients. Arerugi 1994;43:37-43)を見る限り、アトピー性皮膚炎患者の血漿中およびリン脂質のジホモ-γ-リノレン酸とアラキドン酸が極端に低下していることから、従来から言われているようにデルタ6およびデルタ5脱飽和酵素の生産不良などの背景があるでしょう。
最近の研究報告によると、オメガ-3としてのDHA、EPAについて、アトピー性皮膚炎の改善を目的とする場合には、1日あたりEPAは1600mg、DHAは1000mgが推奨量と考えられています。この量を食材から摂ることを考えると、本マグロのトロの握り1貫、マアジの刺身1匹、マイワシの刺身1匹、天然ハマチの握り1貫、サケ1きれ半、サバの水煮缶詰1缶になります。食材で摂取できない場合にはDHA、EPAのサプリメントで補うことも考えるべきでしょう。
by nutmed | 2013-04-19 17:34