第1277回アルミニウムと体内環境 その1

連休も終わり、多くの人が平常スケジュールに戻ったことと思います。私もこの連休後半は台湾の隆雄で開催された重金属と神経障害の研究会に出席のため、3年ぶりに台湾に行ってきました。折しも鳥インフルエンザ感染者が発見されたばかりの台湾行でしたので、4月20日ころから、通常摂っているビタミンD3の15倍量に相当する1日あたり45000IU(1125マイクログラム)を飲んで感染予防を万全に行いました。
神経障害にかかわる重金属と言えば、このブログでm何回も紹介している水銀を筆頭に、鉛、ヒ素があげられますが、今回の台湾での話題の中で最も興味を引いたのはアルミニウムでした。最近もイタリアの研究チームからアルミニウムが結合したフェリチン(鉄の輸送貯蔵タンパク)とアルツハマー症状の関係が報告されており、水銀以上に私たちの生活習慣周辺に深く根付いているアルミニウムが想像以上に健康を害することを知っておくべきであると同時に、アルミニウムの体内汚染を避けることを積極的に行うためのアクティブディフェンスを日本人も考えるべきだと思います。そこで今日から数回にわたってアルミニウムについて紹介したいと思います。
多少難しくなるところもありますがついてきてくださいね。私が以前に書いたアルミニウムの講義用テキストになるので紋斬り口調は御容赦くださいね。

化学的に、アルミニウムは軽金属である。植物および動物の組織中、血液および尿中に少量存在するが、ヒトや動物における代謝機能に不可欠であるというエビデンスはない。ラットを用いた実験では、アルミニウム非含有食を与えても欠乏症状の発現は認められなかった。ヒトは体内に50~150mgを貯蔵しているが、肺に最も高濃度に存在し、汚染された空気の吸入が原因である可能性が最も高い。平均血中濃度は13mcg/100mLである。

アルミニウムは多くの食品の天然成分である。腸管吸収は悪いとみなされているので、この微量元素は長い間、健康障害を引き起こす危険性があると認められていなかった。健常者では、摂取したアルミニウムの98%以上が消化管を通過し、1日あたり約100mcgが尿中に排泄される。しかし、吸収されて血漿中に見出されるものもある。血漿中では主にトランスフェリンに結合している。血漿中アルミニウムは主に骨や脳の組織に蓄積する。

アルミニウムの細胞に対する毒性作用の正確な生化学的機序は解明されていない。アルミニウムは消化管および尿路から容易に排泄されるので、摂取量増加によりフッ化ナトリウム中毒のリスクが大幅に上昇するということが動物実験で証明されるまで、食事からの摂取は無害であると考えられていた。

医学的に、アルミニウム中毒による臨床症候群は、半世紀もの間にわたって認められている。腎不全による高リン酸血症の治療のために水酸化アルミニウムゲルを服用している透析中の終末期腎疾患患者、およびアルミニウムで汚染された中心静脈栄養輸液による治療を長期にわたり受けている患者は、アルミニウム中毒の症状を発症することが知られている。1981年以後、透析患者38例がアルミニウム中毒のため死亡してから、アルミニウムの危険性にさらに注意が払われている。

長期にわたるアルミニウムゲル療法は、致命的な進行性神経症候群を引き起こすことがある。くちごもり、どもりで特徴づけられる言語障害が最初の発現症状であり、その後、発話困難症、統合運動障害、および不全失語症が発現する。長期にわたる血液透析は脳内のアルミニウム蓄積増加の一因となる。アルミニウム中毒の進行した症状にはミオクローヌス運動、てんかん発作、進行性痴呆、先行症や失見当識など頭頂葉の徴候がある。透析脳症と呼ばれる症候群は、目的のある行動をすることができない状態にまで進行し、最終的には死亡する。

1942年に行われた動物実験では、少量のアルミニウムでさえも脳の電気的刺激を生じ、てんかん発作を引き起こすことが示された。アルミニウム塩を注射した結果、老人性痴呆が生じ、アルツハイマー病の症状が悪化した。トロント大学(カナダ)のネコを用いた研究では、アルミニウムの注射による学習障害が認められた。エリザベス病院(ワシントンD.C.)の医学研究者であるDavid Shore博士は、アルツハイマー病患者の脳細胞には通常の4~6倍量のアルミニウムが含まれているということを報告した。進行脳症のアルミニウム産業の作業員1例対して行われた試験では、正常値の20倍のアルミニウム濃度が認められた。薬剤師・毒物学者会(Association of Pharmacist and Toxicologists)の会員であるArmand Lione博士は、アルミニウムは一般に認められているよりもはるかにずっと健康に害があると述べている。同博士は、アルツハイマー病は、最も発現頻度の高い老年痴呆の症状で、ますます多くの高齢者に苦痛を与えていると述べている。米国では1年間に推定60,000~90,000例がこの疾患で死亡している。アルツハイマー病は、1906年にAlois Alzheimerによって最初に確認され記載されたが、この不治の病に罹患している米国人は600万~700万人と推定されている。アルツハイマー病患者の剖検では、脳内アルミニウム濃度が極めて高いということが示されている。エリザベス大学(ワシントンD.C.)の医学研究者であるDavid Shore博士は、アルツハイマー病患者の脳細胞には健常対照と比較して4~6倍量のアルミニウムが含まれているということを見出した。アルミニウムはニューロンの構造を変化させ、電気化学的神経伝達の破綻を生じるものとみられる。数年前に研究者らは、アルツハイマー病患者の皮質では選択的コリンアセチルトランスフェラーゼ欠乏が認められることに気が付いた。この酵素は、重要な神経伝達物質であるアセチルコリンの合成に不可欠である。しかし、アセチルコリンやレシチンの補充によって顕著な改善は認められなかった。
by nutmed | 2013-05-08 10:10