人気ブログランキング | 話題のタグを見る

第1312回 ショウガの異なる機能性について

今朝の東京神田淡路町界隈は、秋の気配さえ感じる空模様です。日中はまだ日差しも強いようですが、確実に秋が近づいてきているようです。ただ、昔に比べて、四季の変化の兆しがなくなりつつあるようで、昨年のようにいきなり冬に突入という、風情のないさびしい日本にはなってほしくはないですね。

さて、今日はショウガについてです。
少し前になりますが、生姜ダイエットが流行ましたね。
ショウガエキスには膵臓から分泌される、脂肪分解酵素のリパーゼの働きを阻害する作用があり、腸管からの脂肪の吸収を低下させ肥満を予防する効果があるという、熊本大学と愛媛大学の論文に基づくものでしや。」
事の良し悪しは別としても、この論文を支持し、ショウガに減量効果があるということで、食品メーカーが一斉にショウガ配合商品を作り宣伝し、老若男女がこぞってショウガ商品に飛びつく様は、私にとって、相も変わらず日本人は「おもいっきりあるある症候群」から脱していないことを痛感させてくれました。
この論文には確かに、ショウガに含まれるエキスには、膵臓で作られる脂肪分解酵素のリパーゼの働きを阻害することが報告されています。
ショウガに含まれる機能成分が、人間や家畜の病気や症状の改善治療に使われてきた歴史は非常に古と言えます。その機能性の多くは、ショウガに含まれるショウガオール、ジンゲロールなどの揮発成分によるものです。発汗作用、去痰作用、抗血液凝固作用のほか、胃酸分泌促進、SOD活性とグルタチオン生産能力が高いことが知られており、心臓病、気管支炎、リウマチ、高血圧などの治療と症状改善に使われています。
今回の発表にもある、脂肪の分解を抑えて、腸管からの脂肪吸収を抑える作用についても、古くから知られており、世界中でいくつかの研究報告が発表されているところです。
ただし、私の知識と経験の中にあるショウガの持つ機能性の中には、今回の作用とは全く逆の作用、つまり「ショウガには膵臓のリパーゼの働きを活性させ、脂肪の分解を促進する」という作用があります。(googleなどの検索で「ginger enhanced pancreatic lipase activity」とキーワード検索をすると沢山ヒットします) 同じショウガという素材なのに、ある論文では脂肪の分解を低下させると報告されていたり、別な論文では脂肪の分解を促進すると報告されていたり、どちらを信じればいいのか迷ってしまいますね。

この2つの異なる報告は両方とも正しいと言ってもいいでしょう。その背景にはショウガに含まれる揮発成分が関係しているものと思われます。詳細な原因は私も不明ですが、水で抽出されたものや、ショウガの切片をお湯で煎じたハーブティにした場合には、揮発成分の効果が顕著に現れるため、膵臓のリパーゼの働きを阻害する作用が強く出てきて、摩り下ろした絞り汁を乾燥させて作られたパウダーのような素材の場合には、膵臓のリパーゼの働きを活性させる働きがあるものと考えられます。
実際に、トリとマウスを使って、ショウガの粒子の大きさによって作用効果に違いがあるかを検討した報告がカナダと中国の研究グループから2009年に発表されています。

日本で話題になった「ショウガの持つダイエット効果」に偽りはありませんが、ショウガには、そのダイエット効果の裏付けとして言われている「膵臓が分泌する、脂肪分解酵素のリパーゼの働きを阻害することで、脂肪が腸管から吸収されることを低下させる」作用があると同時に、180度異なる「膵臓が分泌する、脂肪分解酵素のリパーゼの働き促進させる作用」があることも事実であること。
つまり、ショウガの機能性の恩恵を正しく受けるためには、素材と使い方を間違えることで期待する効果は得られない可能性があるということでもあります。

これはショウガだけの話ではなく、皆さんの多くが期待して購入する機能性を持った野菜、ハーブ、果実なども同様です。 場合によっては、症状を悪化させてしまうような逆効果につながることだってあり得るわけです。
目的を明確にして、素材の素性を調べ、使用方法を明確にすることではじめて素材の効果、恩恵を受けることができるわけです。
by nutmed | 2013-08-28 08:05