第1339回 胃酸を止める薬の影響

最近、栄養カウンセリングを行っていて気になるのは、逆流性食道炎などの治療改善で処方される、胃酸の分泌をとめてしまうプロトンポンプ阻害剤(PPI)の長期服用による、貧血症状、耳鳴り、筋肉のけいれんなどの症状があります。ある意味ではPPIや同じ性質の薬であるH2ブロッカー(市販薬のガスター10と同じ)の作用機序が、食物を分解するための胃酸を根元から止めてしまうことを考えれば、当然の間接的な副作用症状でもあります。これらの症状の背景に深くかかわっているのが、ビタミンB12、鉄、マグネシウムで、胃酸の不足、欠乏は、これらお栄養素の吸収をするための消化分解を決定的に阻害することになります。
PPIなどの薬がポピュラーに処方され、これらの薬を服用する人が激増するようになったこの7年ほどの間に、臨床家の間でもPPIの長期服用を背景とする貧血、耳なりなど、ビタミンミネラルの吸収不足が原因と考えられる症状が多くなったという話も聞いていました。
私の娘は駆け出しの調剤薬剤師ですが、彼女からよく聞く話が、調剤で処方する薬のランキングを調べると、意外にもPPIが多いということです。
そんな因果で論文検索をしていると、2010年に、九州大学の研究者が、PPIの長期服用によるカルシウム、鉄、ビタミンB12、マグネシウムの不足に関する報告をしていました。私が栄養療法の多くを学んだDr.ジョナサンライトは、現代人の胃酸不足の傾向とその背景を常に力説してくれ、逆流性食道炎の原因を多くの医師は胃酸過多と連呼する中、「逆流性食道炎の原因の多くは、食べたものの消化分解に時間がかかる胃酸の少ない胃酸不足の人だ」と言い、PPIやH2ブロカーの安易な処方に警鐘をならしています。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20882439
by nutmed | 2014-02-12 08:28