第1347回 クランベリーの機能性 その3膀胱炎の治療

さて、今日は膀胱炎の治療についてです。
前回説明したように、膀胱炎の原因の75%は大腸菌で、その大腸菌の多くは便に含まれているバクテリアです。一方で、人の体内環境にはほとんど危害を加えることのない大腸菌です。
膀胱炎の治療の75%には、原因となる大腸菌の殺菌の目的で、抗菌作用を持つ抗生物質が処方されます。以下はある婦人科、泌尿器科のホームページで紹介されていた膀胱炎の治療方法の紹介文です。おそらく全く同じ文章なので、医薬品メーカーが提供したものだと思います。
「抗菌剤には、クラビットやタリビット、バクシダールなどのニューキノロン系剤、サワシリンやビクシリンなどのペニシリン系剤、パンスポリンやフロモックス などのセフェム系剤などがあります。特にニューキノロン系剤は、大腸菌に有効な抗菌剤です。処方された抗菌剤の服用を続けても、症状が改善されない場合 は、原因となる菌を検査し、有効な薬を処方し直すこともあります。
少し難しい内容かもしれませんが、この中の重要なポイントは下線部分です。この文章で言っていることは、膀胱炎の自覚症状があり、来院された患者には、症状の背景に大腸菌が原因であるかの確認をほぼせずに、上記のような強力な抗生物質を処方しますと言うこと。また、最初に処方した抗生物質の効果がなければ、もっと強力で広範囲のバクテリアを殺すことができる抗生物質も処方しますと言うことでもあります。もちろん広範囲に殺されるバクテリアの中には、乳酸菌のような有益なバクテリアも含まれることになります。
膀胱炎の治療で処方されることは、以前よりも少なくなったようですが、サルファ剤という抗菌剤があります。サルファ剤は、バクテリアが新陳代謝のために自らつくる葉酸と競合する「葉酸合成阻害剤」で、 バクテリアの繁殖を拡大させない抗菌剤です。大腸菌の多くは、葉酸を作り、1部は我々にも供給してくれる有益な面も持っていますが、「悪玉菌」のレッテルを貼られてしまい気の毒なところもあります。
次に、ハーブや漢方、生薬による膀胱炎の治療も、それらに含まれる抗菌作用による殺菌除菌を目的とするものがすくなくありません。
ここで、大腸菌が原因である膀胱炎の治療に関わる注意点をもう少し詳しく見てみましょう。
大腸菌は抗生物質によって細胞が破壊されると、大腸菌の細胞壁そのものが毒素となって炎症症状を起こします。この毒素のことを「エンドトキシン」といい、抗生物質を飲むことによって抗生物質誘導性エンドトキシン ショックと言う状態になることがあり、発熱、悪寒、低血圧や眠気などの症状を引き起こします。
つまり、膀胱炎の原因ではあるものの、不用意に大腸菌たちを殺菌することによって、エンドトキシンの影響による症状が発症することにもなるということです。
以上のように、膀胱炎の治療で処方される抗生物質の性格及び、その抗生物質によって殺菌される大腸菌が作りだす毒素であるエンドトキシンの性格を考えると、膀胱に侵入してきた大腸菌が感染し、症状が拡大する前に、殺菌することなく、大腸菌の感染を阻止することができれば、エンドトキシンショックを防ぐことができ、腸内の乳酸菌の環境を一変させることもふせぐことができることになります。そんなうまい方法があるのか?
それをかなりの確率で効率的に行うことを可能とする素材が今回テーマにしているクランベリーのエキスになるわけです。
下のイラストを見てください。これは大腸菌が膀胱の壁の表面に感染する様子をイラストにしたものです。
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左側は、膀胱炎の原因となる大腸菌の線毛が、膀胱の壁の細胞表面にある受容体に付着して感染がスタートする状態です。右側は、クランベリーのエキスに含まれるPAC(プロアントシアニジン)やD-マンノースが、大腸菌の線毛と膀胱の受容体が付着することを阻害する様子です。起用体に付着できない大腸菌は、膀胱の壁の表面で繁殖することができなくなり、感染はできす、尿によって外部に流されることになります。
これにより、大腸菌は殺菌されることでエンドトキシンと言う毒素を作り出すこともなく、また強力な抗生物質を継続して服用することで、腸内の乳酸菌の環境を乱すこともありません。
by nutmed | 2014-04-14 10:32