第1359回 大腸がんの予防のために

最近私の友人知人関係の中で、30歳から50歳台までの男性で、大腸がんが見つかった人が数人続いています。以前に比べて日本人の大腸がん発症数が増加していることは、メディアでも紹介されているところですが、これほど身近に発症した人が続くと他人事ではありません。
多くの原因背景には、食事内容があることは疑いの余地はないと思いますが、それ以上にストレスフルな生活環境、ビタミンDの不足なども報告されているところです。
中でも、ビタミンDの不足については、この10年ほどの間に、世界各国の研究者が報告しています。
大腸がんとビタミンDの関係については、ビタミンDの活性をもった型である、1-α,25(OH)2ビタミンDががん細胞の増殖を抑制する研究報告が 2000年以前から発表されていましたが、2002年のバーミンガム大学の報告で、その関係性が強いことが報告されています。腎臓において水酸化酵素(1-α水酸化酵素)の働きによって1-α,25(OH)2ビタミンDという、ステロイドにも似た 強い活性をもつビタミンDが作られることがわかっていますが、この報告によれば、1-α水酸化酵素は、腎臓だけでなく、胸部、前立腺、大腸のほか、様々な臓器 組織に存在することが報告されています。つまり、1-α,25(OH)2ビタミンDには、がん細胞の増殖を抑える働きがあること、その1- α,25(OH)2ビタミンDは、1-α水酸化酵素によってビタミンDからつくられること、そして、そのためにはビタミンDが紫外線を浴びることによって、皮膚の細胞で合成されることと、ビタミンDが豊富に含まれる食材を食べ、正しく吸収されることによってビタミンDが補充できるということにもなりま す。
このほか、私の経験では、近年のダイエット目的や、大腸がん予防の観点から、繊維質食材を豊富に食べることも、準備が不十分に繊維質だけを豊富に食べることによって、大腸の働きに影響を及ぼすことも少なくないと思っています。その準備の最大のポイントは乳酸菌です。繊維質の多くは、人間が作ることができない繊維質分解酵素「セルラーゼ」によって分解され、一部は糖分に変化します。乳酸菌をはじめとする腸内のバクテリアによって作られるこのセルラーゼの恩恵を成就するためにも、日常的に、腸内バクテリアの環境を整えるために、乳酸菌を摂るという準備運動は不可欠だと思います。
by nutmed | 2014-06-23 08:48