第1365回 タリウムの検出が増加している背景

栄養医学研究所で受託している爪のミネラル分析検査が、この6月末で通算8000検体を超えました。分析を委託しているのは、私の臨床ミネラル学の師匠でもあるドイツのDr.Bushの検査センターです。
2000年6月から受託を始めて以来、日本人から検出される水銀が高レベルである事実が、本当のことであったことを裏付ける数値は相変わらずですが、2011年3月11日以降、現在に至るまで継続して顕著なことは、かつては検出されなかったセシウム、ストロンチウムに加えてウラニウムが全国規模で検出されるようになったことです。
先週、栄養医学研究所のスタッフから、「最近、タリウム(thalium)の検出頻度が増えているような気がしますが、この背景は何でしょうね?」ということを投げかけられました。
私も少し気になったので、過去の数値を5年刻みで追跡してみました。そうすると、確かにタリウムについては、2012年2月頃から、従来の検出率をはるかに上回る件数が基準許容範囲をこえた結果が出ていることが分かりました。従来の検出率を上回ると言うと、相当な数を想像されるかもしれませんが、具体的にタリウムが高い方の人数は、2カ月で1.5人と少ないのですが、2012年以前には、3年間で1人ほどの検出であることと比較しても、有意に多いと言えると思います。
タリウムが生活環境から体内に侵入してくることは、比較的稀だと考えられています。タリウムの体内侵入源として最も高いのは、半導体電子部品の製造工程だと思います。そのほか、カメラや望遠鏡のレンズ製造工程、放射能測定用のシンチレーションカウンター製造工程です。おそらく、これらの職業に従事されている方は、定期的にタリウムの測定を尿または毛髪で分析されているのではないかと思います。
タリウムは、カリウムとよく似た大きさと性格を持つことから、体内に侵入すると、カリウムと同じような動きをします。カリウム濃度が高い細胞組織である、神経、肝臓、腎臓、副腎、心筋などの細胞のミトコンドリア内に集中します。また、タリウムは硫黄基質を持つ酵素の合成を阻害するため、メチオニン、システインの含硫アミノ酸の生産量が低下し、毛髪、爪、皮膚を構成するケラチンの合成が障害され、脱毛の原因になります。
このほか、タリウムはビタミンB2の機能も阻害することが確認されているため、ビタミンB2が不足することによって現れる、神経機能障害、皮膚の炎症、口内炎及び脱毛等の原因になるとも考えられます。
タリウムの作用を利用して、ネズミの駆除に使う殺鼠材、農薬にもタリウムが使用されてきた歴史もあります。
では、ここ数年で日本人から検出されるタリウムが増えている原因背景はどこにあるのでしょうか。早速、私の臨床ミネラル学の師匠でもあるDr.Buschにアドバイスを求めて見ました。
彼女のコメントでは、「タリウムには核種があるので、2011年3月のの福島原発事故の影響とも考えられないわけではないが、ここ数年の日本を取り巻く周辺環境を考慮すると、原発の影響よりも、中国のPM2.5飛来の影響が最も高いと私は考えます。PM2.5などの炭化物質は石炭の燃焼によって発生するもので、石炭に含まれ未燃焼の水銀、鉛とともにタリウムもPM2.5とともに飛散していると考えます。日本の環境庁が数十か所でPM2.5の定点分析をした結果を私はネットのニュースで見ましたが、東京郊外の山や福島でもPM2.5に含まれる水銀が分析されていました。残念ながら彼らはタリウムの分析はしていませんが、これだけの量の水銀が飛来していることを考えると、同様にタリウムも飛来していると考えても不思議ではないでしょう。」 確かに、海外のメディアの報道の中には、中国が愛出する石炭燃焼煙の量はこの数年で激増しているという記事を見た記憶があります。
人が直接呼気から吸引するタリウムと同時に、地面に降り落ちたタリウムを植物が吸収し、その収穫物を家畜や人の口胃入ると言う経路になると思います。
Dr.Busにタリウムを排泄する方法を聴いてみました。「セレニウム、ビタミンE、α-リポ酸の積極的な摂取に加え、働きが阻害されることで影響を受けるビタミンB2、メチオニン、システインを積極的に摂ることが肝要です」とのコメントをもらいました。、
by nutmed | 2014-07-24 10:21