第1361回 血管新生を抑えるプロテオグリカンの作用 1

今週は月曜日火曜日と、講義で札幌へ行ってまいりました。まだ、蒸し暑さの残る東京とは異なり、肌に触れる風も秋めいた札幌は、今が一番過ごしやすいのかもしれません。昨日の朝は札幌でも15℃ほどでした。
さて、今日のテーマは血管新生についてです。血管新生とは、まさに、新たな血管が何かの原因によって生じる現象で、新たな血管が生じることによって、体に様々な症状が現れることは以外にも多いのです。
健常な成人男女では、新たな血管が生まれる必要はほとんどありません。傷で細胞が負った損傷を修復するためには、新たな血管が生じることはありますが、一時的なもので、その状態が日常的に生じることはありません。
新たな血管が必要になる背景の多くは、既存の血管から供給される酸素、栄養素が滞るために、それらを供給するために新たな血管のバイパスが自然に作られるものです。脳と心臓の血管が詰まる梗塞の原因になる血栓が生じると、時間の経過とともに酸素と栄養が供給できないその先にある細胞が機能しなくなりますが、この時に新たな血管のバイパスを作り、酸素と栄養素の供給をしようと働くことは珍しくありません。
このほか、新たな血管を作る現象の中には、腫瘍、子宮内膜症、緑内障、コンタクトレンズによる角膜血管新生、糖尿病性黄斑変性などの症状とのかかわりがあります。
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腫瘍を例にして説明すると、上記のイラストのように、腫瘍’がん)細胞が、成長するために必要な酸素と栄養素を求め、新たな血管を作らせるためのメッセンジャーを送りだします。これがシグナルとなって、既存の血管から新たな血管が張り巡らされ、腫瘍(がん)細胞に酸素と栄養素の供給をはじめて腫瘍は大きく成長し始めます。
その他の症状で新たな血管が作られる背景も基本的には同じで、結果として酸素と栄養素の供給が滞るために機能できなくならないように、血管のバイパスが作られます。
黄斑変性や緑内障などの目の症状の場合に、血管新生が厄介なのは、新たに作られた血管によって正常な細胞に盛り上るようなコブのような塊ができることで、焦点がボヤけたり、視力と明度が低下する症状が現れることでしょうか。
以前から、血管新生を抑える治療薬は使われているだけでなく、現在開発中の薬もあるようですが、副作用も強いことから、この数年で話題になっている機能成分が「プロテオグリカン」というタンパク質と糖質の複合体です。 15年ほど前、サメの軟骨から抽出されるコンドロイチンには、がん細胞の成長を抑えて委縮させる作用があるということで、日本の健康食品市場でも話題になりました。このコンドロイチンもプロテオグリカンの仲間で、プロテオグリカンはコンドロイチンの集合体と言えます。
この数年で話題になっているプロテオグリカンは、鮭の鼻骨から抽出されたものが多く、皮膚の潤いを保つ保湿作用のほか、皮膚細胞の成長を刺激促進する作用が確認されていますが、血管新生を抑える作用も確認されています。
by nutmed | 2014-08-27 13:29