第1366回 クランベリーエキスがピロリ菌予防に有効

過去5年間で、栄養指導、サプリメントアドバイスを行てきたクライアントを振り返ってみると、圧倒的に副腎機能のダメージにかかわる症状を持ち合わせた人が多い。中でもこの3年ほどの間に顕在化してきたのは、過剰なストレスによる胃の症状、胃痛、胃炎、逆流食道炎などだと感じます。
さらに深く探っていくと、クライアントの中に、人間ドッグや検診で実施した胃カメラと血液検査で、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染を指摘された人が少なくないようです。 日本人の30-50%に感染者が存在するとも言われているヘリコバクター・ピロリ菌ですが、検査方法が充実し、実施施設が増えたことも、感染者の人数が増えてきたことに拍車をかけているものと思いますが、それ以上に、胃痛、胃炎、逆流性食道炎、胃潰瘍などの症状を持つ人が増加してきた背景に、ストレスがヘリコバクター・ピロリ菌の感染とが相まって、症状の顕在化をたどってきたのではないかと考えます。
アメリカやカナダでも、ヘリコバクター・ピロリ菌とストレス性の胃炎、胃潰瘍は現代人の深刻な症状の1つになっており、日常的にヘリコバクター・ピロリ菌の感染を抑止する習慣指導をする医師も少なくありません。
私の友人で、テネシー州で栄養療法クリニックを開業しているドクターもその1人で、先週末に彼と行っている定期的な情報のやりとりの中で、ストレスからくる胃炎(委縮性胃炎)の改善効果を向上させるために、昨年から彼が患者に指導して使っているのがクランベリーエキスであることをききました。
クランベリーエキスについては以前にこのブログでも数回テーマで紹介していますので、こちらをご覧ください。
そのブログの中でも紹介しているように、クランベリーエキスに含まれるポリフェノールであるプロアントシアニジン(PAC)には、大腸菌が人の細胞に着床して繁殖することを阻害する作用が確認されています。実は、PACが持つこの作用の対象となる菌には、ヘリコバクター・ピロリ菌も含まれ、ヘリコバクター・ピロリ菌が胃の粘膜に着床して繁殖することを阻害してくれることが今から10年ほど前にイスラエルの大学から報告されています(Inhibition of Helicobacter pylori adhesion to human gastric mucus by a high-molecular-weight constituent of cranberry juice) この発表と同じ年には中国の北京大学からも同様の研究報告が発表されています。
実際に、クランベリーエキスのカプセルタイプのサプリメントを処方している彼の話では、クランベリーとピロリ菌の繁殖拡大阻止の話を患者にはじめた当初、彼は、1日250ccのクランベリージュースを、起床後と就寝前に飲むように勧めたそうですが、果糖摂取の問題と、満腹感から食欲が減退するなどのクレームが多くなり、この数か月前からカプセルにクランベリーエキスが入ったサプリメントを使ってもらっているようです。
ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌剤を処方されていた患者の中には、薬の副作用も含めて、逆流性食道炎の症状が辛かった人が少なくなかったそうですが、クランベリーエキスを飲み始めてから、その症状は落ち着いてきたそうです。多くのストレスにさらされている人が、ストレス性の胃炎や胃潰瘍を発症しないようにするための予防策としても、ストレス過多な生活にある人にクランベリーエキスは有効な予防機能性成分だと思います。
私の友人の彼が、すでに胃痛や胃潰瘍の手前まで来ているストレス過多の患者に処方している素材を1つ紹介しておきますが、クランベリーエキスに加えて、亜鉛のサプリメントを毎日60mgを2回に分けて飲んでもらっています。亜鉛は先日のテーマで紹介したように、胃粘膜の保護作用が認められているミネラルで、日本でも胃潰瘍などの治療で胃粘膜保護を目的に処方されている「プロマック」という薬は亜鉛の合成薬です。
by nutmed | 2014-09-24 16:15